NEW YORK日本クラブで秋の夕べ
女優・松坂慶子さんが7日、ニューヨークの日本クラブ主催でトークショーを開いた。ニューヨークは松坂さんにとって30年程前に滞在し、結婚後、この地で2人の娘の母となった思い出の町。「いつ来ても魅力的ですね」。ニューヨーク時代に始めた天守物語の朗読。これまでハワイ、ウィーン、スペイン、上海、ソウル、ワシントンDC、フィラデルフィアと海外での朗読会を行ってきた。20年経ってその朗読を始めた町での初トークとあって「感無量」という言葉を松坂さんは使った。
そして万葉集との出会い。「万葉集の持つ明るさとか躍動感とか生命力にとても共感するんです。目で読んでも楽しいけれど、声を出してみんなで楽しめるところもいいんです。1300年くらい前の人たちの感性が伝わってくる。香久山も、本当は丘くらいの高さだったのかも知れませんが、天の香久山と天にまで届く大きさに見えるその気持ちの躍動感がこちらにも伝わってきて元気をもらえます。ニューヨークでこうして万葉集を朗読できる未来が待っているなんて分かっていたら20年前30年前に心配しなくて良かったわ。令和と元号が変わり、万葉集に光があたってとても嬉しい」
ニューヨーク時代、乳母車を押しながら通ったというグリニッジビレッジの寿司屋「ともえ寿司」がいまも変わらずあることを知り「行くことがあったらご主人によろしくお伝えください」と気さくな笑顔を見せた。
万葉集を朗読
NY生活やドラマ、楽しい思い出語る
女優の松坂慶子さんをメインゲストに迎えたトークイベントが7日夜、日本クラブで開催された。イベントはニューヨークを拠点に活躍しているバイオリニスト小澤真知子さんのバイオリン演奏で始まり、続いて松坂さんが黒いロングドレスの艶やかな姿で登場。司会の沼田靖子さんとの掛け合いで、二十代の頃に出演したTVドラマ「白い滑走路」からNHKの「西郷どん」「まんぷく」、つい最近放映された「ドクターX」の裏話など女優業に関する話題や、ジャズギタリストの高内春彦さんと結婚後ニューヨークに在住、二女をもうけたことや趣味のフラダンス、美容の秘訣などプライベートな話題で盛り上がり、会場は終始和やかで楽しい雰囲気に包まれた。
また、松坂さんがライフワークとして取り組んでいる万葉集朗読に話が進み、松坂さんの長女百音(もね)さんと次女の麻莉彩(まりさ)さんが平安衣装で登場、松坂さんと3人で万葉集を朗読した。その後「せっかくの機会ですから、ぜひ皆さんもご一緒に」と松坂さんのリードで参加者全員が声を合わせて万葉集の一句を詠んだ。会の最後にはQ&Aの時間も設けられ、これまで数多くの役柄を演じた中で最も印象に残っている役柄は何か、長い間にわたり第一線で活躍されている秘訣は何か、などの質問が飛んだ。
通常は出演者が先に退場するケースが多いが、本イベントでは松坂さんの提案により出口近くに松坂さんはじめ出演者が並び、参加者との記念撮影の後に出演者が見送る形となり、参加者を喜ばせた。松坂さんの長年のファンだと言う参加者の一人は「映画やテレビで見るよりも綺麗なのと、とても気さくな方で驚きました。『自分のやっていることを好きになること』と言うアドバイスが印象的でした。」と語った。