有田焼陶芸作家の小畑裕司の展覧会がチェルシーの大西ギャラリー(西26丁目52番地、電話212・695・8035)で開催されている。メインテーマは「桜」。桜は、小畑が長い年月にわたりライフワークとして掲げてきたテーマだ。今回2回目となるニューヨークでの個展の中で「オバタ・ピンク」と呼ばれる淡い桃色はより艶やかに輝きを増した。
小畑が「桜」を手掛けて25年。1990年代にそれまでの有田焼には存在しなかった桜のピンクをモチーフにした小畑の作品は一躍脚光を浴びた。現在も年4、5回ある国内展で桜の作品が根強い人気があり支持を受けている。「ピンクなんて許されなかった世界。時代が変わって生活様式も変わって受け入れてもらえた。いい時代に生まれた」と語る小畑。今回はこの桜と、オリジナルの柿、昨年挑戦した魚も出品している。この夏、インドのニューデリーでも展覧会を開催して大成功を納めた。
1984年に青山学院大学法学部を卒業後、一旦は日本の光学機器メーカー大手でサラリーマン生活を3年送ったが4代目として陶芸の道に。以来33年。安定感ある作風に円熟味も加わった。大西ギャラリーの展覧会では、この桜の湯のみなど、小さいものなら200ドルくらいから購入できる。日本の冠婚葬祭、入学、卒業式、ホリデーシーズンなどには贈り物としてよく出るシリーズだそうだ。自分へのプレゼント、素敵な人への贈りものとしてもニューヨークで注目されそうだ。今月28日まで。(三浦)