ロングアイランドシティー
シアトルに本社を構えるネット販売大手アマゾンが12日、第2本社をクイーンズのロングアイランドシティーに設置すると発表した。第2本社はバージニア州アーリントン郡クリスタルシティーとの2分割。400万平方フィートの広大な予定地は、バーノンブールバード東の44ロードと46番街の間でイーストリバー沿い、工事には約4万人を雇用するという。向こう10年で約2万5000人の高賃金雇用を創出するとあって、クオモ州知事は「誘致に成功したらアマゾン・クオモに改名する」という冗談を言うほど積極的に動いてきた。「州の歴史始まって以来の経済開発」と大喜びだ。
アマゾン進出の噂が広がった今月初頭、7日付ニューヨークタイムズ紙は、地域一帯の高級化の加速や通勤ラッシュ時の混雑など、多くの不安要素について指摘した。同地区は新しい摩天楼が形成されつつあり、向こう2年で約5万7000人の人口増加が見込まれる。アマゾン社員は平均年収10万ドルとされ、高所得の住人増加が予想されるが、一方で同地区には全米最大級の低所得者向けアパートがあり、所得格差がさらに顕著になる。
交通網にも大きな影響を与える。予定地に近い地下鉄コートスクエア駅は7番線、E線、M線、G線が乗り入れるが、ラッシュ時には数本見送らなければ乗れないほど混雑する。数年後には7番線の大々的な信号工事が予定されており、さらなる混雑が予想される。一方で、ニューヨーク市フェリーの乗り場も近くフェリー網の拡大計画が進み、デブラシオ市長が提案するブルックリンとクイーンズを結ぶ「路面電車」計画が大きく実現に向かうだろう。通勤客は「地域の雇用促進になる。でも長年やってきたマム&ポップ・ショップがなくなってしまうだろうから寂しいね」(エリーさん、20代男性)、「すごいことだよ。大手銀行などもここに移転しているし、地域がどんどん変わるだろう」(匿名、60代男性)などと話していた。 (小味かおる、写真も)