NYで国連本部など訪問
横浜市(山中竹春市長)が実施する「よこはま子どもピースメッセンジャー」の本年度の参加者が、体験の成果を18日、ニューヨークの横浜市米州事務所(関谷聡所長)で行われた記者会見で語った。この事業は、「国際平和のために、自分がやりたいこと」をテーマに日本で行ったスピーチコンテストで、約4万人の応募の中から選ばれた横浜の小学6年生2人、中学3年生2人の計4人をニューヨークに派遣し、国際連合本部、UNDP国連開発計画、ユネスコ事務所、国連日本代表部などを訪問、横浜市の児童生徒の代表として国際平和について学び、平和に対する思いを直接伝える機会を与えるもの。同市では平成8年(1996年)から同ミッションを続け、今年で28回目となる。横浜の子どもたちは、関係機関代表者との会談を経験、国連国際学校でも2日間にわたり授業を体験した。ロシアとウクライナの戦争の長期化、イスラエルとハマスによる戦争の激化、日本被団協のノーベル平和賞受賞などめまぐるしい激動の現代に何ができるのか、それぞれが体験を語った。
会見したのは、市場小学校けやき分校6年・志村優妃さん、大道小学校6年・加藤夢丸さん、潮田中学校3年・林睿騰(りん・るいてん)さん、西谷中学校3年・イグウェ・ケイト友菜さん。
志村さんは自分以外の家族全員に聴覚障害があり、小さい時に偏見から差別されたことがSDGsの差別のない世界を目指そうとコンテストに参加したという。「国連学校ではルールに縛られず自由な雰囲気にあふれていてびっくりした。一人の発言や行動で世界が変わっていくこともあると実感した。将来は高齢者や障害を持っている人を支えていきたい」と述べた。
加藤さんは「ウクライナ戦争が起きたときに父親がロシアにいて、知り合いが犠牲になったことを聞いて打ちのめされた。戦争を他人事ではなく自分ごととして捉えなくてはならないとの思いで応募した。NYでは車が簡単にクラクションを鳴らすなど日本とずいぶん違うと感じたが、共通して大切なことはコミニュケーション能力を高め、人との繋がりを広めることだと実感した。人が笑顔になる世界にしたい」と述べた。
アフリカ系の血をひくイグウェさんは「小さい時に肌の色が黒い人が周りにいなくて視線を浴びて嫌な思いをしたことが、自分のように嫌な思いする人がいるのはよくないと思い立候補した。こちらでの会話や挨拶が自然で驚いた。自分は将来デザイナーになりたいので、平和に関してのアートや、たくさんの方法で表現豊かに平和に貢献していきたい。アメリカに来てみて多様性を目の当たりにし、自分の夢に一歩近づけた思いがする」と語った。
林さんは「国連学校で生徒たちが楽しそうに楽な雰囲気で授業を受けているのが印象的だった。自分はスピーチコンテストで太平洋戦争中の沖縄での民間人の集団自決の歴史を調べた。軍国教育の誤った知識で自決した村とハワイ出身で軍国主義教育を受けていない2人の村民がいた村では、その2人が米兵と交渉して村民を説得し、自決を免れたことを紹介した。自分は台湾出身で小さい時に人と違うことで仲間外れになったこともあるが、沖縄のことを学んで、違っている意見は存在してもいいと思った。被団協のノーベル賞受賞も、動かないと、行動しないと何も結果が出ないということを私たちに教えてくれた」と語った。
(写真) 記者会見したよこはま子どもピースメッセンジャーのメンバー。左からイグウェさん、志村さん、加藤さん、林さん(18日、横浜市米州事務所で)