有効期間240日に短縮
国土安全保障省提案
米国土安全保障省(DHS)は9月24日、ジャーナリストのビザの有効期間を240日に制限する内容の提案(プロポーザル)を発表した。学生は最長4年だが場合によっては2年とする。同省は、規則を遵守させ、入国管理法違反を減らし、国家安全保障を強化するためとしている。提案であり現行のビザに直ちに変更があるわけではない。10月26日までパブリックコメントを受け付けている。
提案では、I(報道関係者)ビザの有効期限を最長240日にする。現在は最長5年で更新も難しくないとされるが、提案では米国土安全保障省および米国務省の方針と一致する外国メディア組織を定義し、適格な審査基準を設けるとしている。
F(学生)ビザは最長4年間にする。ただしビザのオーバーステイ(期間超過)率が10%以上の国からの人やテロリスト支援国家の出生者などはまず2年とする。現在のビザプログラムでもっとも恩恵を受けているのは発給数の多い中国と言われる。米政府は中国人スパイによるハイテク技術や知的財産権の窃盗の防止対策として、中国人留学生や研究者らへのビザ発給を制限しているとされるが、今回の提案は日本を含む他国への影響が大きい内容となっている。
報道関係者ビザ期限240日の怪
学生ビザ厳しく
米移民制度を見直し
ジャーナリストのビザの有効期間を240日に制限する内容の提案(プロポーザル)は、国土安全保障省が、F、J、Iビザの非移民が膨大な数となっていることを受け、米国の移民システムの完全性を確保するために考えたとしている。
学生ビザについては、学校が公的に認定されたものか、あるいは企業などのスポンサーが良好な状態のE-Verify参加者かどうかなども厳しく審査し、問題なければ4年に自動延長されるとしている。
またビザが切れた場合、出国期限は現在60日だがこれを30日にする。延長を求めるI、F、および研修などのJ(交流訪問者)ビザの外国人(非移民)には明確な適格基準を確立するとし、生体認証も収集するとしている。ただし、ビザの資格を得るための基本的な要件の変更は今回の提案には入っていない。
トランプ政権は2017年に安全保障上の問題があるとしてイスラム教徒が多数派を占めるイランなど7か国(その後、5か国)からの入国を禁止した。今年6月にも新型コロナによる経済低迷で自国民の雇用を優先させるとして就労ビザの新規発給を今年末まで停止する大統領令を出した。7月にはオンライン授業のみを受ける外国人留学生を対象にビザの発給制限すると発表した。これには61の大学と18の州が提訴に踏み切るなど激しい反対が巻き起こり撤回する形になったが、実態は3月以前にビザが発行されていた者を救済するだけに留めた。