残された3人の息子
3日後に容疑者逮捕
「突然のメールをお許しください。昨晩クイーンズのジャクソンハイツで発砲事件があり、私の義理の妹が殺されてしまいました。3人の残された幼い子供の為にファンドレイジングを立ち上げています。事件の記事を載せていただくと共にファンドレイジングの情報も載せていただくことは可能でしょうか?」そんなメールが1日夜、編集部に飛び込んできた。差し出し人は松谷美佳さん(47)。日本人女性だ。
翌日、事件現場で松谷さんに会った。
事件は9月30日深夜、1日未明の午前零時45分。クイーンズ区ジャクソンハイツ34番街91丁目16番地で起こった。エルムハースト駅から徒歩10分の閑静な住宅街。警察によると道路に面した集合住宅アパートの3階に住むメキシコからの移民女性ベルタ・アリジアさん(43)が、外の道路で物音がするので窓ガラス越しに外を見た時に路上から発砲され、弾丸が喉に命中し、室内で倒れた。大きな物音に気づいた長男のエンジェル君(14)が母親の寝室に入ると母親が床に倒れていた。その時はまだ目を開いて息をしていたという。別室で寝ていた父親を起こしエンジェル君が電話で911に通報、警察と救急車が駆けつけたが、CPRであらゆる蘇生を試みたが現場で死亡が確認された。室内の窓ガラスには銃痕があり、外から発砲されたものだった。屋外の防犯カメラにはその時間帯にビルの前で駐車されていた自転車を盗もうとする2人組の男が写っており、重要参考人として警察は捜査、3日、イサム・エラバー容疑者(31)を殺人、武器不法所持などの容疑で逮捕した。
クラウドファンディング立ち上げ
編集部に連絡してきた松谷さんは、犠牲者の夫の兄の妻。ベルタさんには、6歳のジョージ、10歳のビクター、14歳のエンジェルの男の3人兄弟がおり、6歳の末っ子はまだ事件が理解できておらずに母親を探しているという。被害者の夫も松谷さんの夫もショックを受けており、また、メキシコにいるベルタさんの母親が葬儀のために米国に入国を希望しているがコロナウイルス感染防止の影響でビザが降りず断念、葬儀が7日しめやかに地元の教会で行われた。。3人の子供の養育費と教育費を賄うため松谷さんがクラウド・ファンディングを立ちあげた。7日現在目標額30万ドルに対して4万6251ドルが851人の支援者から寄せられている。「米国で銃規制がなかなか進まない中で、身近な家族が犠牲になってとても悲しい。亡くなった義理妹は帰らないが、犯人には責任を取って罪を償って欲しい。残された子供たちのことを考えるとなんとか助けてあげたい気持ちでいっぱい」と松谷さん。寄付は10ドルからできる。ファンドのアドレスはファンドレイジングGoFundMe, https://gf.me/u/y27dsx
(写真左)事件現場の前に立つ松谷さん。後ろのビル手前3階の窓に銃痕があった。(2日午前、写真・三浦良一)