国連に響く平和の鐘

第40回国際平和デー記念式典開催

グテーレス事務総長「平和追求国連の使命」

 第40回国際平和デーを記念した平和の鐘を打つ式典が17日午後、ニューヨークの国連日本庭園にある平和の鐘で行われ、アントニオ・グテーレス国連事務総長とアブドッラ・シャーヒド第76回国連総会議長が鐘を打った。当日、石兼公博特命全権大使・国際連合日本政府常駐代表夫妻、国連平和の鐘を守る会代表の高瀬聖子さんが式典に列席した。

 鐘を打つ前にグテーレス事務総長は「世界は今、紛争や新型コロナウイルスの世界的蔓延、経済格差、人権や平和への脅威にさられている。潜在的人道主義と平和を追求することが国連に課せられた使命だ」とスピーチした後、力強く平和の鐘を1回打った。

 またシャーヒド国連総会議長は「確固たる平和を構築することが国連の最大の目的とするところであり、加盟各国が国連に集い協力の元で話し合いをするそのシンボルとも言える国際平和の日に鐘を打つことの大切さを絶え間なく働きかけてこられた日本政府の石兼国連大使に感謝します」とスピーチの中で日本に謝辞を述べた。

 2年ぶりに式典に参加した国連平和の鐘を守る会の高瀬代表は「世界中で起こっている自然災害や、紛争、新型コロナウイルスの蔓延など克服しなくてはならない人類の課題に対する強い思いがあって、事務総長は力強く鐘を打たれたのだと思う。平和の鐘は戦争のない平和を願う、また慰霊をこめた鐘だが、今年は地球が災害や疫病などのない平穏な場所であることを含めた平和を祈る式典となった」とコメントした。式典には日本庭園を手がけたボストン在住の造園家、阿部紳一郎さんも出席した。

 国連平和の鐘は、日本政府が国連に加盟する2年前の1954年に、後に宇和島市長となる個人、中川千代治氏(1905〜1972)によって寄贈された。式典に出席した高瀬代表は中川氏の六女。国際平和デーは毎年9月21日で、例年、同日の少し前に国連が決めたスケジュールで式典を開催している。

(写真左)平和の鐘を打つ式典で左から石兼国連大使夫妻、グテーレス事務総長(前列中央)、シャーヒド国連総会議長(右隣)、国連平和の鐘を守る会・高瀬代表(前列右端)

(写真右)世界平和を追求するスピーチ後、力強く鐘を打つグテーレス事務総長(写真・日本政府国連代表部)