8日に発生したハワイ・マウイ島の山火事で106人の死亡が15日までに確認された。ほぼ鎮火され焼け跡の捜索に移っているが、安否の確認が取れていない人が1300人ほどおり死者は今後も増える見込み。2018年にカリフォルニア州で発生したキャンプファイアによる火災の死者85人を超え、米国の火災としては過去100年で最悪の事態となった。在ホノルル日本総領事館によると、14日時点で日本人が犠牲になったとの情報はない。
もっとも被害が出たのはマウイ島最大の街・ラハイナで、焼失や破損した建物は2200棟以上にのぼった。明治時代に日本から移民してきた人たちが建てたラハイナ浄土院も被害を受け本堂が焼け落ちた。移民100年を祈念して1968年に建てられた三重の塔(納骨堂)も焼失した。
バイデン大統領は10日にハワイ州に対し大規模災害宣言を発出し、12日には米連邦緊急事態管理庁(FEMA=フィーマ)が都市捜索救助チームと犬捜索チームを含む150人以上が派遣された。順次、増員される予定。また沿岸警備隊など10を超える組織が救援活動を続けている。1400人ほどが6か所に分かれて避難し、ボランティアによる支援も行われているが物資は不足しているという。
雨がほとんど降らず空気がひどく乾燥していた時期に、近海を通過したハリケーン・ドーラによる強風で山火事が拡大、海岸沿いのラハイナの街に延焼した。火災の原因は特定されていないが、専門家らは可能性のひとつとして、強風で活電線が落ち山に引火したのではないかとの見方を示している。
8日の火災発生時に80基ある警報のサイレンが作動しておらず、逃げ遅れた人が出たと見られている。作動しなかった原因は明らかになっておらず調査中。地元当局は携帯電話やテレビ、ラジオを通じて緊急警報を流したと説明している。ハワイ州のジョシュ・グリーン知事は、被害額は推定で60億ドル近くになると述べた。ラハイナは人口約1万3000人で日本人・日系人も多く住む。かつてはカメハメハ王朝時代の王都だった。ニューヨーク日系人会(佐藤貢司会長)が支援に乗り出す。
NY日系社会も相次ぎハワイ支援に乗り出す
ハワイの火災被害を受けてニューヨークの日本人・日系社会も動き始めた。ニューヨークに進出する日系企業286社で構成するNY日本商工会議所(JCCI、和田知徳会頭/米州住友商事会社社長・CEO)、JCCファンド(上野佐有理事長/米国三井物産 株式会社社長)、日本クラブ(河手 哲雄会長/北米三菱商事会社社長)の3団体の代表が 15日協議し、会員各社に呼びかけて、まとまった金額を赤十字経由で被災地へ届けることを決めた。
今回は実際のお金の受け渡しは501・c・3のチャリタブルな団体であるJCCファンドを通じて行う。ニューヨークの日系企業を中心とする団体が団結して寄付支援活動をするのは、昨年のウクライナ市民団への支援以来。
ニューヨーク日系人会(JAA、佐藤貢司会長)も15日、スーザン・大沼元日系人会会長と協議し、募金活動を始めることを決めた。寄付先は現在調査を進めているとこrで、正式には来週中に発表する見通しとなった。
JAAの野田美知代事務局長は「1868年に初めてハワイに移民した方々をGANMENNMONO(元年者)と言いますが、その方たちが建てたお寺が、焼けているのを見て、悲しくなりました」と話している。
岸田首相と林外務大臣、米国にお見舞い電報
岸田首相は12日、ハワイ州が山火事により甚大な被害が発生していることを受け、バイデン大統領に対しお見舞いのメッセージを送った。また林外務大臣もブリンケン国務長官とジョッシュ・グリーン・ハワイ州知事にお見舞いメッセージを送った。
岸田首相のバイデン大統領に宛てたメッセージは次の通り。「今般、山火事がハワイにもたらした甚大な被害に関し、米国国民及び米国政府に対して心からお見舞いを申し上げます。一刻も早く火災が収まることを願っています。犠牲になられた方々の御冥福と被災地の一日も早い復興を心からお祈りいたします」(外務省12日)
ハワイ・マウイ島火災の主な支援・寄付先
■ハワイ・コミュニティー財団(Hawaii Community Foundation)ハワイ州のグリーン知事室が設立した基金。災害への備え、対応、復興資源を提供する。www.hawaiicommunityfoundation.org/maui-strong
■ハワイ赤十字社(American Red Cross of Hawaii)山火事の避難民が情報を得たり、温かい食事を食べたり、携帯電話を充電したり、救援物資を受け取ったり、医療サービスを受けたりできる安全な避難所を見つけるのを支援。www.redcross.org/local/hawaii
■米国赤十字社(American Red Cross)マウイ島で火災の被害を受けた人々を救援中。redcross.org にアクセスするか(Get HelpからDisaster Relief & Recovery Servicesに入る)、1-800-RED-CROSS (800-733-2767) に電話するか、90999 に REDCROSS という文字をテキスト メッセージで送信して、10ドルの寄付ができる。www.redcross.org
■アロハ・ユナイテッド・ウェイ(Aloha United Way)アロハ・ユナイテッド・ウェイの本部はホノルルにある。被災者に寄付を直接届けるためにMaui Fire Relief Fundを立ち上げた。www.auw.org
■ピースウィンズ・アメリカ(Peace Winds America)/
■ピースウィンズ・ジャパン(Peace Winds Japan)世界中の自然災害や人為的危機に対応する日本と米国の専門知識を持つ国際NGO。日本での寄付はreadyfor.jpまで。
peacewindsamerica.org
■アメリケアズ(Americares)マウイ島の山火事に対する寄付を受け付けている。www.americares.org
■フィーディング・アメリカ(Feeding America)食料支援で知られる団体。ハワイ山火事災害救援の寄付活動も行なっている。give.feedingamerica.org/a/hawaii-wildfires
■救世軍(The Salvation Army)ハワイ・太平洋支部が寄付受付中。hawaii.salvationarmy.org
■マウイ・フード・バンク(The Maui Food Bank)1ドルを寄付するごとに避難地域住民に4食分の食事を提供できると述べている。 mauifoodbank.org/donate。
■ワールドセントラルキッチン(World Central Kitchen)マウイ島の地元パートナーと協力し避難者や救急隊員に切望されている食事を届けている。wck.org
■マウイ動物愛護協会(Maui Humane Society)避難した犬や猫などのペットの治療、餌やり、世話。www.mauihumanesociety.org