日本は民主主義国か? 国籍法訴訟秋の陣

    国籍法訴訟が続く秋

 国籍法改正を求める訴訟が続きます。福岡訴訟第5回期日(8月21日)、京都発!大阪訴訟第3回期日(9月29日)、未成年者についての東京訴訟第2回期日(10月2日)です。

 ご承知のように、国籍法11条によって外国籍を取得したとたんに日本国籍が自動的に奪われます。日本国内にいながら日本国籍を失った人、海外在住で日本国籍を失った人、国籍を失ったことを知らずに帰国して不法滞在外国人とされた人、海外在住で日本国籍を維持したいために現地で帰化できない人などが多く存在します。

 特にコロナにより、日本国籍がない人の日本帰国や長期滞在が難しくなり、親の死に目に会えなかった人たちが多数います。日本国籍を喪失した人たちの相談を数百件も受けてきた米国在住の近藤ユリ弁護士が、一時帰国した日本からの再出国が難しい当事者となり、訴訟を起こしました。

 あなたは不法滞在の外国人!

 女性の大学教授も訴訟を起こしました。カナダ国籍を取得した後、18年に親の介護のために帰国。国籍喪失届が申請書類の不備を理由に受理されず、日本国籍があるものとされてきましたが、翌年、旅券を申請したところ日本国籍は失われているとして拒否され、「不法滞在の外国人」と宣言されたのです。出国を望めば強制退去となり、5年間は日本への帰国が拒まれる状況です。教授は「家族介護の帰国が不法滞在扱いを受けるのは理不尽だ」として、日本国籍を持つことの確認や旅券発給などを求めて大阪地裁に提訴しました。

海外で活躍する日本人に冷酷な国籍法

 海外在住日本人は130万人を超え、その約6割が長期滞在者です。世界150か国が複数国籍を認めています。しかし、必要に迫られ外国籍を取得した南部陽一郎、中村修二、眞鍋淑郎のノーベル賞受賞者各氏も日本国籍をはく奪されました。ビザ発行の条件として「自らの意思で日本の国籍を放棄する」という書類にサインを迫られた人もいました。本人の意思を確認することなく、海外で活躍する日本人の国籍を奪うことは、大きな国益の損失です。

   日本は民主主義国か?

 日本は男女平等指数が世界125位。報道の自由ランキングが世界68位です。6月までは日本だけが先進G7諸国の中唯一LGBT支援法が無い国でした。日本が民主主義国として胸を張るには、国籍法11条改正も含めてその体制を整える時です。

 この秋の裁判や報告集会などの日程は以下のサイトでご覧ください。 http://yumejitsu.net/


 ふじた・ゆきひさ=慶大卒。世界的な道徳平和活動MRAや難民を助ける会で活動した初の国際NGO出身政治家。衆議院・参議院議員各二期。財務副大臣、民主党国際局長、民進党ネクスト外務大臣、横浜国立大講師等歴任。アメリカ元捕虜(POW)の訪日事業を主導。現在国際IC(旧MRA)日本協会会長。岐阜女子大特別客員教授。