手間暇かかる準備が楽しい
グランピング気分満喫
自宅の本棚の片隅からボーイスカウト米国連盟が1967年に発行した古いキャンプの本が出てきた。ペラペラとめくっていると、なんだか夏の間にキャンプに出かけたくなり、急遽思い立ち、週末1泊2日の駆け足キャンプに息子を誘って出かけた。
目的地はアップステート、モホンク保護地区ニューパルツの郊外にあるプライベートキャンプ場「サム・プライアー・シャワンガンク・ゲートウェイ・キャンプグランド」。ウエストチェスター郡ハリソン駅前からレンタルのZIPカーで運転すること1時間半。キャンプ場には、それぞれ独立したキャンプサイトが50か所あり、テント1張のスペースに、ピクニックテーブルが一つ付いている。ハイカーに人気があり、この公園内には50マイルある登山道に滝もあり、園内だけでも十分に自然を楽しむことができるのも魅力だが、今回はただひたすらのんびりすることと飯盒炊爨(はんごうすいさん)で米を炊いて野外炊事を楽しむことに絞った。キャンプ場は夏の間、週7日間営業、入場料は車1台10ドル、シャワー、トイレ、共同流し台があり1泊38ドル。
グランピングという言葉が最近日本でも使われるようになった。「グラマラス」と「キャンピング」を合わせた造語だ。贅沢にキャンプを楽しむ新しいアウトドアライフ・スタイルの提案だが、身体一つで行けば、現地にテントも食事も全て揃っているという至れり尽せりの施設やホテル、ロッジが主流のようだ。
しかし今回は、あくまでアナログ、マニュアル究極の原始的、クラシック・キャンプにこだわった。キャンプ用品も日本にいた頃ボーイスカウトで使っていたナイフや飯盒があったので引っ張り出して持参した。
現地に着いてまずホットドッグ&コーヒー、夜食はステーキとイタリアンチーズとペンネのパスタ、そして飯盒で炊いたご飯でカレーライス。じゃがいも以外は家で切って持参。飲みものはコーヒーのほか缶ビールとアイスティー。深夜の夜食はもやし焼きそば。献立表を作り、現地で食べる分だけ食材を持って行く。
Wi-Fiが通じるのでノートブックパソコンも持参し、寝る前にテントの中で1時間ばかり仕事、ネットで日本のニュースを見て消灯。4人用テントに2人で寝たので、折りたたみ式簡易ベッドが2つ楽に入り、寝心地は快適。地べたにグラウンドシートを敷いて1班6人が雑魚寝したスカウト時代とはえらい違いだ。
翌朝は午前6時に起床、朝食はベーコンエッグとトースト、コンソメかきたまスープ、缶詰の果物。トーストは鉄板のトースト焼き器を持参したのでこんがり焼きたてを食べられた。朝食を済ませて撤営、現地を午前10時にゆっくり出発したが、昼前にはハリソンに戻って来た。あっという間の週末グランピングだったが、思い出は永遠に残りそうだ。
(三浦良一記者、写真も)