イサイアス直撃
6日間停電の食料品店悲鳴
熱帯性暴風雨(トロピカルストーム)のイサイアスが4日に東海岸を縦断し、強風による倒木などで電線や変圧器など配電システムが破損、至るところで停電が発生した。ニューヨーク、ニュージャージー、コネチカット州のトライステートでは140万を超える世帯が停電に見舞われるなど2012年のハリケーン・サンディー以来の最悪の災害となった。
ニューヨーク市は比較的停電被害はなかったが7日朝になってアッパーウエストサイド、ハーレムおよびアッパーイーストサイドの合計約18万世帯が停電した。停電は7日午前5時15分に発生し、地下鉄の運行にも影響が出た。またクイーンズのミドルビレッジとウッドサイドの合計約7000世帯も一時停電した。電気会社のコンエジソンによれば送電に問題があったとされ数時間後にはほぼ復旧した。
8日になっても市内の2万7000世帯、ウエストチェスター郡でも4万4000世帯の停電が続いた。コンエジソンは、テキサスやフロリダからも技術者を派遣させて復旧にあたったが、10日になってもクイーンズなど市内とウエストチェスター合わせ数百世帯で停電が続いた。
ウエストチェスター、ハリソンの日系食料品店おいしんぼは、4日午後1時過ぎに停電。同日中に電気が店の半分戻ったが弱電で冷蔵庫や冷凍庫の中のものが溶け出したので翌日冷凍食品を全品半額で販売。日本人の主婦たちが応援して100人近くが駆けつけてくれて1日で完売したが被害総額は1万ドル以上に上った。電気は停電から6日後の9日午後7時過ぎになってようやく戻った。店主の高田英紀さん(50)は「ハリケーンサンデーの時は停電は1日だけだった。被害はあの時以上。保険でカバーできるかどうか分からないけどなんとか復帰します」と話していた。
コンエジソンによれば、電線などを地下に埋設するには莫大な費用がかかるが、スマートスイッチを設置すると被害が数百世帯ごとに分散できるため大規模停電を避けることが可能という。
写真:停電6日目にやっと電気が付いて喜ぶ高田さん(9日午後7時過ぎ、三浦良一撮影)