9年生からの大学進学準備

教育なんでも相談室

サトリ・カレッジ・プランニング カレッジ・カウンセラー
伴里美相談員(M.A., Certificate in College Counseling)

Q 東京のインターナショナルスクールに通い、今度9年生になる息子がいます。息子は以前家族で住んでいたシアトルに友達がいるので、シアトルに戻りワシントン大学に入学したいと希望しています。これからの成績は大学進学に影響するので、息子にはその意識を持って頑張ってほしいのですが、同じ学校内で進級するせいか緊張感というか自覚が足りないように思います。家族としては後になってあわてないよう早い段階から準備をさせたいと思っているのですが、今後どのようなことに気をつければよいかご教示下さい。SATのスコアが大事だと聞きます。これも早いうちから勉強を始めた方がよいでしょうか。(日本、母親)

A 新学期から9年生になる息子さんにとって、大学はまだまだ先のことと思えるかもしれませんね。アメリカの大学に進学するために勉強だけすればよいという訳ではありません。高校生として勉強以外に色々なことにチャレンジしてもらいたいと思います。

 まず親御さんの間でもとても関心の高いSATですが、今年は新型コロナの影響で多くの大学がこの一年に限ってテストのスコア提出をオプショナルにしています。ワシントン大学は今年一年のテスト・オプショナルだけでなく、それ以降もテストのスコアを要求しない方針を最近になって打ち出しました。以前からアメリカの大学はホリスティック(holistic)なアプローチ、つまり志願者の多面的な能力を総合的に評価する方法で入学選抜が行われてきましたが、志願者数の多い公立大学でもテスト結果以外の要素がより重要になってきていると言えるでしょう。

 英語が母国語ではない人は、SATの勉強よりTOEFLやIELTSという英語能力試験の準備が重要です。これはコロナ禍でも自宅からオンラインで受けられますし、このテスト結果の提出が必要でなくなることは今後もありえません。もし提出しないと、志願者として考慮してもらえないことさえあります。各大学の要求するスコア以上をとれるよう、スピーキング、リスニング、ライティング、リーディングの四分野を満遍なく勉強して下さい。

 息子さんはまだ大学で何を専攻するかわからないかもしれませんが、自分の得意科目のクラスはオナーズやAPなどアドバンスのクラスが今後とれるよう、良い成績をキープしてほしいと思います。新学期になったら、4年間に取ることになるクラスの見通しをガイダンスカウンセラーと確認するとよいでしょう。

 今までしてきたスポーツや趣味の他に、興味のわく新しい活動を学校内外で探し参加することも大切です。コロナ禍でできないことはあると思いますが、できることもたくさんあります。ボランティアを含め、色々なことに挑戦するよう息子さんに勧めて下さい。

 息子さんの希望するワシントン大学は、一般によく知られているコモン・アプリケーションではなく、コアリション・アプリケーションからだけ出願できる数少ない大学の一つです。9年生からでもアカウントを作ることができ、名前やメールアドレスなど自分の情報を志望大学とシェアすると、大学が志願者に知ってほしい情報を送ってくれます。今年は何度かバーチャルのカレッジフェアーが予定されているので、アカウントがあるとそれに参加することもできます。ワシントン大学だけでなく、いくつかの大学に出願することになると思うので、他の大学を知るよい機会にもなるでしょう。このようにコアリション・アプリケーションは早い段階から高校生に大学進学を意識させ、準備するのに有益なプラットフォームなので、息子さんもアカウントを作るとよいと思います。


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