米国民に放射能汚染

米各地で上映会

サイレントフォールアウト

伊東監督が来米

米国での上映について語る伊東監督

 米国での放射能汚染を追った記録映画「サイレントフォールアウト」の上映会が20日午後、マンハッタンで行われた。同映画を製作した伊東英朗(ひであき)監督は13日から北米大陸上映ツアーを敢行中で、会場に集まった約100人に映画に託した思いを伝えた。

 映画はまず1951年に始まったネバダ核実験場周辺の被害状態を追う。そして数百マイル離れたセントルイスで女性医師ルイーズ・ライス博士らが中心となり、子供たちの乳歯を集め歯に残るストロンチウム90から被曝を証明した活動を紹介する。その行動はケネディ大統領による大気圏内核実験の中止宣言へとつながる。さらに地質学者による北米大陸の放射能汚染の実態や日本の漁師や英国の兵士の証言から核兵器による被害の大きさを伝える。

 伊東監督は「アメリカは奇跡が起きる国。ライス博士の行動がそれを示している。だからこそ映画を観た皆さんが行動をしてほしい。みなさんも被曝者。広く事実を知らせてほしい」と強く訴えた。

 上映後には大きな拍手が寄せられ、伊東監督が感極まって涙ながらに回答する場面も見られた。主に米国人からは「この映画をどこで観られるか」「私の子供の乳歯も検査できるか」「監督の目的は何か」「どうしようもない怒りがこみあげた。私たちは何をしたらいいと考えるか」などの質問が相次いだ。伊東監督は「米議会でこの問題が議論されることを目的としている。核兵器は誰も守っていない」と力説した。北米大陸上映ツアーは計17か所を回り、ニューヨーク市は6回目。8月は、ユタ、カリフォルニア、オレゴン、ワシントンの各州での上映が予定されている。詳細はウェブサイトwww.fallout22.comを参照。

  (小味かおる、写真も)