ゆかたは着物です。NYから世界宣言

論争に終止符、世界遺産登録へGO!

 NPO法人きものを世界遺産にするための全国会議(本部・東京都、吉田重久代表理事)は17日、ニューヨークで「ゆかたを仲間に、きものは世界遺産へ」と題したニューヨーク世界宣言を発表した。これまで長年続いてきた「ゆかたはきものか?」論争に終止符を打ち、きものの世界を大きく広げ、世界遺産登録への可能性をより高めることが目的。ゆかたはきものかを実際にネットで検索しても、ゆかたときものの「違い」だけが知識的に強調され、明確な答えがない。業界の中でも「ゆかたはきものではない」という意見が根強くあり、日本和装の創業者で元社長だった同NPOの吉田代表理事も以前は「浴衣はパジャマ、きものではない」と名言していた時代があった。

 今回の宣言に至る過程の中でも、NPO関係者から「やはりきものとゆかたは別物」という意見もあったが、若者や外国人はどうか。

「京都や浅草などの観光地では、ゆかたを着て散策する若い男女がとても多いのですが、そのほとんどが『きもの姿』としてゆかたファッションをSNSにアップしています。また外国人にとって、ゆかたをカジュアルなKimonoとして楽しんでいます。『ゆかた』はもうすでに『きもの』なのです」と吉田さん。現在はタイに在住し、海外に住んで外国人目線でものを捉えられるようになったそうだ。

 今回宣言の決定打になったのは、同NPOをサポートするきもの愛好者「和装家」へのアンケート(回答数493)の結果だ。きものの文化的価値を考える上で、もっとも保守的だと思われた和装家の実に77・89%が「ゆかたはきものの仲間」と回答し、予想以上にきものへの考えが自由であることが分かった。

 同NPOでは、今回の宣言は「きもの人口をケタ違いに増やし、きものの世界を大きく変えるもの」として認識し、きものの世界遺産(無形文化遺産)登録に弾みをつけるものと考えている。

 特定非営利活動法人 きものを世界遺産にするための全国会議活動の目的は、法人名の通りにきものを世界遺産にすることで、和装業界に貢献しようというものだ。2014年にきもの業界各社が設立。同時に活動を開始。2023年7月現在、139社の業界各社が本会員、賛助会員として加盟している。

(写真)NYで浴衣着物宣言した吉田代表理事(17日朝、写真・三浦良一)