熱中症死亡者が急増

NY市保健精神衛生局過去 10年の統計で

 NY市保健精神衛生局が6日に発表した報告書によると、5月から9月までのニューヨーク市において熱中症による死亡者数が毎年推定350人と、夏の気温の上昇とともに過去10年間で増加していることがわかった。これらの人々の多くは死亡診断書に「暑さによるもの」と記載されているわけではないが、例えば心臓病などの基礎疾患があり、それが暑さによって悪化したものと思われる。

 調査結果によると2000年代の死亡者数は約100人であったが、近年は300人台に急増。死亡診断書のデータでは、熱中症で直接死亡する人は年間7人と推定され、60歳以上の高齢者で男性、黒人、貧困地域の住民の死亡率が最も高い。また、黒人が熱中症で死亡する確率は白人の2倍以上であった。報告書には「この不公平は、経済、医療、住宅、エネルギーなど、白人に有利で有色人種に不利なシステムを作り出している、過去と現在の構造的人種差別によるものである」と書かれている。

 研究者らがまとめた年次調査データによると、1970年にエアコンを設置している家庭の割合は40%だったが、2000年代半ばには80%を超えるまでに急増した。熱中症になった人のほとんどはエアコンのない家庭で死亡している。現在、NY市の世帯の90%以上がエアコンを使用しているが、その割合は社会経済的地位によって異なり、低所得者層では76%にとどまっている。近年、暑い日は増え続けており、熱中症による死亡者数が最も多い7月の平均最高気温は、過去50年間で5度上昇した華氏88度を記録した。