来年春から導入へ
マンハッタン60丁目から南に入る車両
ニューヨーク州のキャシー・ホウクル知事は6月27日、マンハッタンに入る車両に対し「渋滞料」を徴収することを発表した。全米最大の都市が「よりきれいな空気、より安全な街路、より良い交通機関の実現を先導する」と述べた。
米国運輸省の一部門である連邦道路管理局が23日、ニューヨーク市が主にマンハッタンの一部の有料道路を通じて渋滞を管理する計画を進めることを承認。2007年に当時のブルームバーグ市長の提案からおよそ15年を経て実現する運びとなった。メトロポリタン交通局(MTA)によると、早ければ2024年春にも開始する。この種の措置はロンドン、ストックホルム、シンガポールで導入されているが米国では初となる。
計画では渋滞の激しいマンハッタン60丁目から南に入る車両に通行料を徴収する。ただし、イーストサイドのFDRドライブおよびウエストサイド・ハイウエーは課金されない。また、MTAによると、バッテリーパーク地下道やウエストストリートにつながるヒュー・L・キャリー・トンネルの地上道路部分でも料金はかからないという。
料金はこれから決めるが、昨年8月に作成された計画書ではピーク時で最大23ドル、オフピーク時で最大17ドルとなっている。徴収は橋やトンネルのトール代と同じくEZパスを使う。EZパスがない車両は現行のトール代同様にナンバープレートが読み取られ車両登録先の住所に請求書が郵送される。電子検知地点は料金所の入り口と出口に設置される。おもに60丁目と61丁目の間の交通アームやポールに85個、橋や頭上の標識に35個の合計120か所ほどに設置予定だ。
収益は年間10億ドルを見込んでおり、MTAのエレベーター設置や信号機の近代化などインフラ改善に使われる。インフラだけで運営費には使用できない決まりだ。
タクシーやライドシェア会社、車通勤の人には痛手で反対運動も起きている。ニュージャージー州では州議員らが「現金強奪だ」と抗議、マーフィー知事(民主党)は裁判も検討している。MTAはタクシー運転手への割引などを検討中だ。なお、消防など緊急車両や障害者を乗せた特定の車両などは払う必要はない。また渋滞料地域内に住居があり年収6万ドル以下の人は州税控除の対象になる。