ジェトロのウェビナーに4000人殺到
トランプ大統領が6月22日に署名して24日発効した大統領令は、米国内で失業者が急増している状況の中、政権が米国人の雇用を最優先することを目的とし発令した。
ジェトロ・ニューヨーク事務所では、特定の非移民ビザの発給を一時停止するこの大統領令についてのウェビナーを24日に緊急開催した。システム上の聴講定員1000人に対し、申し込みが4000人もあった。同セミナーで講師を務めたRBLパートナーズPLLCのボアズ麗奈弁護士は重要なポイントとして次のことを指摘している。
適応日の6月24日の時点で、既にビザが発給されている外国人は該当しない。つまり、現時点で米国外にいても、既にビザが発給されているH1B、H2B、L1、J1ビザ保持者は、引き続き、入国が出来る。大統領令に含まれていない非移民ビザ保持者(E1、E2、E3、TN、F1=学生)は該当しない。また、米国永住者(グリーンカード保持者)も該当しない。米国の食料品供給にに関わるエッセンシャル・ワーカーや、米国政府の国益とみなされる外国人も例外。
現在、米国滞在中の外国人には影響はないが、米国を出国することにより、再入国できなくなる可能性があるので、注意が必要。また、米国内での滞在の延長や切り替え申請にも影響はないので、引き続き、米国移民局への滞在延長申請は可能。
なお現時点で上記に該当するビザの面接を予約されている者で、まだビザが発給されていない場合、近々、面接がキャンセルされてしまう可能性が考えられるので注意が必要だ。
【今後の見通し】
(1)大統領令は、入国を制限しており、ビザの発給自体を停止していない。ただし、近々、全世界の在米大使館・領事館が対象ビザ(H1B、H2B、H4、L1、L2、J1、J2)の発給を停止することが考えられる。(例・ロンドン大使館)(2)米国内にいるH1B、H2B、H4、L1、L2、J1、J2ビザ保持者は、対象外なので、有効なビザがある限り、出国、再入国は可能だと思われる。ただし、ビザの更新は12月31日、またはそれ以降までできない。(3)米国外にいるH1B、H2B、H4、L1、L2、J1、J2ビザ保持者は、6月24日時点でビザを取得している場合、対象外なので入国が可能と思われる。(4)大統領令の期限は、今年12月31日だが、変更や延長となる可能性がある。(5)今後、H1Bビザや、グリーンカードの規制が見直され、新しい審査基準や厳格化の可能性がある。(6)近々この大統領令に対する訴訟が起こる可能性があり、結果次第でこの大統領令が停止となることも考えられるので要注意。
【よくある質問】
Q(1)H1Bビザで米国で滞在していていて、ビザもI-94もまだ有効です。米国を出国した場合、再入国できますか。
A「はい。できます。ただし、入国規定の詳細が明らかになっていないので、自分が規制対象外であることを本人が口答で入国審査官に説明できるように、またポケットレターなどを持参して説明できるように」
Q(2)現在日本にいますが、パスポートにJ1ビザが発行されています。近々研修生として米国へ入国できますか。
A「はい、6月24日時点でビザが発行されていれば入国できます。ただし、自分が規制対象外であることを説明するポケットレターなどを持参しておくことが良いでしょう」
Q(3)現在日本におり、近々、東京の米国大使館でLビザの面接を予定していました。このような場合でもLビザは発行されますか。Eビザの申請へ切り替える事は可能ですか。
A「今の時点では東京の米国大使館は何も情報を出していませんが、今後対象ビザの一時発給停止を発表する可能性が十分あります。Eビザに切り替えるのは、条件さえ満たしていれば可能ですが、書類の作り直しが必要でしょう」
Q(4)H1Bで米国に滞在していますが、I-94の期限が3か月後に迫っています。どのように対応すべきでしょうか。
A「今はできるだけ出国するのを避けるべきで、まず、米国内滞在中にI-94の延長申請をすれば引き続き合法滞在とみなされます」
Q(5)「L1ビザで米国に滞在しています。米国内でI-94の申請をしました。延長申請が許可されたら出入国は可能でしょうか。
A「パスポートのビザスタンプが有効で、I-94が許可されたなら合法滞在ですが、再入国規定の詳細が明らかになるまでは出国はできるだけ待った方が良い」
Q(6)L1ブランケットビザで米国に滞在していますが、日本で一時帰国してI-129Sだけの更新はできるか。ビザは有効なのでビザの更新は不要です。
Q「I-129Sだけの更新は認められていません。ビザとセットと考えられているためです。ただし、この部分は不明確なので、できるかもしれないという見方もあります。要注意です」