四国アイランドリーグPlus北米遠征

選抜チーム健闘
強豪6チームと19試合

 日本のプロ野球独立リーグである「四国アイランドリーグplus」に所属する4球団からの代表選抜チームが北米遠征のため来米し、6月中旬から7月上旬にかけてニューヨーク州、ニュージャージー州、そしてカナダのケベック州などで米国のベースボール独立リーグ「カンナムリーグ」に所属する現地の強豪6チームと公式戦19試合を戦った。
 6月21日から3日間、NJ州リトルフォールズにあるヨギベラ・スタジアムで行われたNJジャッカルズ戦では、日本チームの応援企画の一環として、今回の遠征の協賛日系企業である米国ゼブラ社と北米伊藤園から特製ゼブラペンと「お〜いお茶」が来場者に配られた。22日には現地在住の日本人たちによる応援観戦企画が開催され、試合開始前にNYのよさこいダンスグループ「Tentekomai」による高知名物「よさこい踊り」のパフォーマンスや「君が代」斉唱、山野内勘二NY総領事・大使による始球式が行われた。この日の試合はジャッカルズ主催の「スターウォーズナイト」イベントの開催日でもあり、大勢のスターウォーズキャラクターが場内を闊歩、来場者にはライトセイバーの玩具も配布され、試合後には花火大会もあって3000席の球場はほぼ満員の観衆で盛り上がった。
 四国アイランドリーグplus代表選抜チームの監督を務めた養父鐵(ようふてつ)氏は、自身も過去にメジャーリーグ、ホワイトソックス傘下のトリプルエー(AAA)球団の選手として活躍し、海外での野球経験が豊富な実力者。養父監督は今回の遠征について次のように語った。
「今回の北米遠征では選手の7〜8割が海外経験ゼロで、初めてパスポートを取得した者も多い。選手たちにはこの機会に日米の違いを肌で感じて欲しい。日本には無いアメリカの空気感やカルチャーの違いを経験することにより、世界から見た日本、自分を見つめ直す良い機会になると思う。日本の野球は、監督は絶対でそれに服従しながら練習を積み上げて自らを高めて行く、いわば『野球道』のようなニュアンスがある。それに対し、アメリカの野球はもっと自由で開放的。ゲーム感覚で野球に取り組み、失敗してもすぐ次のチャンスで立て直しができるのが『ベースボール』。その違いをしっかり経験し、失敗から多くを学び、自分で考え率先して行動できるような選手となって欲しい。また、野球以外でも、ホームステイ先のホストファミリーや現地の子供たちと交流し、人間として成長することを期待している。今回の経験は、選手それぞれに将来の人生にとても役に立つはずだ」。
 同代表チームの中村道大郎キャプテンは、香川オリーブガイナーズ所属の内野手。大学卒業後、飲食業に従事し2年間野球をしていなかったが、縁があって念願だった独立リーグの選手となった。「今回はじめて北米遠征に参加したが、まず日本との違いを感じたのは整備の行き届いた天然芝のグラウンド。そして何よりお客さんの反応が違った。日本ではトランペットなどの楽器演奏で応援歌を歌ってスタンドから声援するが、アメリカではそれがない。静かな中で試合は進むが、打球音やベンチからの声、観客席からの声援がよく聞こえる。そして大きな声や体全体で表現して応援し、プレーに対して観客の反応がとても良い。だから試合をしていて楽しい。スタジアム全体が野球を楽しむ雰囲気であふれていて、負けてもスポーツマンシップを忘れない。リラックスしているが、やる時は集中力を高めて一所懸命やる。そんなアメリカのベースボールの良い部分を学べることは本当に良い経験だと思う。日本でもそんなアメリカの野球の良い部分を持ち帰り、選手がのびのびプレーし、グラウンドで思い切りパフォーマンスできるようなチームづくりを目指したい」と抱負を語った。
 7月4日にカナダで全日程を終えた代表チームは、最終的な公式戦の対戦成績を7勝12敗とし、メジャーリーグ傘下のマイナーリーグならAAと同程度の実力を誇る「カンナムリーグ」の強豪たちを相手に健闘した。(取材・本紙・西村純、久松茂)