イサム・ノグチや高村光太郎も滞在
NYの邦人にも署名呼びかけ
イサム・ノグチや高村光太郎などが使った、東京都中野区にあるアトリエが老朽化して、都内の劇作家や有志がこのアトリエの保存運動に乗り出している。この建物は、昭和23年(1948年)に、日本の水彩画の父と言われた中西利雄が東京中野区の桃園町(旧名)に建てたもので、日本の近代建築運動のリーダーであった山口文象が手がけた。画家の中西利雄は、完成間近に病気を患い48歳の若さで亡くなった。息子の中西利一郎さんが建物を守ってきたが、昨年1月に亡くなった。木造で築70年以上経っており修復が必要で、中野区も動きはじめて、近く中野区長もアトリエを訪問するという。(写真上:東京都中野区に残るアトリエ(藤島宇内撮影))
そのあと、このアトリエはさまざまな芸術家に貸し出され、特に世界的に有名なイサム・ノグチや高村光太郎がいる。イサム・ノグチは1950年から1952年まで、高村光太郎は1952年10月から1956年4月2日に亡くなるまで3年半に亘りここで過ごした。彼の代表作である青森県十和田湖畔に建つ「乙女の像」の塑像もこのアトリエで製作された。
イサム・ノグチ
Isamu Noguchi, 1988. Photo: Heinz-Gunter Mebusch. The Noguchi Museum Archives, 06415. © The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum, NY / Artists Rights Society (ARS)
保存運動をしている中西利雄・高村光太郎アトリエを保存する会の代表、渡辺えりさん(劇作家・俳優)は「日本の優れた美術家、彫刻家、建築家、詩人などが関わったこのアトリエは、日本の貴重な文化遺産です。ぜひ後世に残してほしいと思います。活用方法については、中西利雄、高村光太郎の作品展や若い芸術家へのアトリエ提供、朗読会など工夫次第でさまざまあると思う」と話す。これらを実現するため、保存会では区議会や関係機関に保存の要望書を提出するため多くの賛同者の署名を求めている。イサム・ノグチも滞在したことがあることから、ゆかりのあるニューヨークからの署名を呼びかけたいと、保存会はこのほどニューヨーク日本人美術家協会(JAANY、松田常葉会長)に署名を呼びかけた。JAANYも会員の署名を集める方向で準備を進める予定だ。保存会ではニューヨーク在住の一般読者からの署名も歓迎するとしている。署名活動に関する問い合わせは曽我貢誠さんEメールsogakousei@mva.biglobe.ne.jpまたは小山弘明さんEメール koyama@aurora.ocn.ne.jp