日本人墓地に祈り捧げる

NY市内クイーンズ区のマウント・オリヴェット墓地

NY日系人会がメモリアルデー墓参会

 メモリアルデーの5月30日、クイーンズのマスペスにあるマウント・オリヴェット日本人墓地で恒例の墓参会が行われた。ニューヨーク日系人会(JAA)が毎年主催しているが、新型コロナウイルスの感染対策によって過去2年間は少人数有志のみの開催だった。墓参会にはニューヨーク総領事の森美樹夫大使、佐藤貢司JAA会長、岡田雅彦ニューヨーク日本人学校校長、岡本徹ニューヨーク育英学園学園長、滝田佳功NY日系ライオンズクラブ会長ら30人余りが参列した。竹田勝男JAA副会長の進行で、NY仏教会のチェリー池宮、イザベラ・バーナード両住職が読経し、一人ひとりが焼香と献花を行いソプラノ歌手の田村麻子さんが「おぼろ月夜」など2曲を歌った。前日ボランティアが清掃し、墓石には育英学園児童手作りの日米の小旗が一面に飾られた。

 JAAは1907年に医師・高見豊彦博士が日本人墓地の購入と日本人の相互扶助を呼びかけ設立した日本人共済会をルーツとする。1914年に高峰譲吉博士を会長とし、高見博士を副会長にNY日系人会が設立された。高見博士は、新島襄に憧れ、1890年熊本藩を出藩して1891年に大阪から米国に向け出航。コーネル大学医学部を2番の成績で卒業した。在学中の日本人男子の解剖に立ち会った際、番号だけで処理されてしまう現実を目の当たりにし、コロンビア大学学生会で在留邦人に相互扶助と親睦、日本人墓地の購入を説く演説をして協力を訴え、1912年に同墓地内に日本人のための土地を2500ドルで購入した。現在同墓地には、100人近い日本人、日系人と無縁仏の霊が眠る。

 佐藤JAA会長は「墓参会は今年で111年目。今後も相互扶助、助け合って100年をモットーに活動を続け先駆者に感謝の意を表し、今後もその意思を引き継いでいきたい」と挨拶した。森大使は「日本を離れ、この地で生き抜くために苦難を乗り越えていった人々が、遠く日本に思いを馳せながらも同胞を深く思いやる気持ちを持ち続け、日系社会の礎を築かれたことに深い畏敬の念を抱くと同時に米国との友好関係を一層進化、深めて行かなくてはならないとの思いを新たにした。総領事館としてJAA、関係諸団体と共に日本人墓地を今後も大切にお守りしていきたい」と挨拶した。

(写真)写真は、右から竹田JAA副会長、岡本NY育英学園学園長、佐藤JAA会長、NY総領事・森大使、岡田NY日本人学校校長、滝田NY日系ライオンズクラブ会長、ソプラノ歌手・田村さん、池宮、バーナードNY仏教会住職