非移民ビザ発給を一時停止

新大統領令を公布、年内有効

 トランプ大統領は22日、非移民ビザによる米国への入国の制限に関する大統領令を公布した。この大統領令は24日から12月31日までの間有効とされ、延長される可能性がある。日系企業の今後の事業展開にも多大な影響を及ぼすと考えられる。次の非移民ビザを取得して米国に入国しようとする場合に対象となる。また4月に発令された大統領令も、12月31日まで延長され、国外在住の永住希望者の入国が年内凍結された。

 今回の大統領令の対象となるのはH1BまたはH2Bビザ(これに同伴・合流する外国人を含む)、 Jビザ(インターン、研修生、教師、キャンプカウンセラー、オペア(au pair)、サマーワーク&トラベル(SWT)プログラムに参加しようとする場合)(これに同伴・合流する外国人を含む)、Lビザ(これに同伴・合流する外国人を含む)。

 この制限は次のすべてに該当する者にのみ適用。①24日時点で米国外に滞在②24日時点で有効な非移民ビザを有していない③24日時点で有効なまたは発効日以降に発給され米国への渡航及び入国申請を許可するビザ以外に公的な渡航書類

(トランスポーテーションレター、適切なボーディングフォイル、臨時入国許可書等)を有していない。

 またこの制限は次の人には適用されないとされる。

①合法的な永住権を有する者②米国人の配偶者または子(米国移民国籍法が定義する子。未婚、21歳未満等)である外国人③米国の食品サプライチェーンに不可欠な一時的な労働力またはサービスを提供するために入国しようとする外国人④国務長官、国土安全保障長官またはこれらの指名する者により、入国することが国益にかなうと判断された外国人。ジェトロ・ニューヨーク事務所では、この大統領令ついてのウェビナーを6月24日に緊急開催した。   

米雇用を最優先
24日発効の新大統領令
ボアズ弁護士が要点を解説

 トランプ大統領が署名して発効した大統領令は、米国内で失業者が急増している状況の中、政権が米国人の雇用を最優先することを目的とし発令した。ジェトロ・ニューヨーク事務所では、6月22日に署名されたばかりの特定の非移民ビザの発給を一時停止するこの大統領令についてのウェビナーを24日に緊急開催した。内容は来週号で詳報する。同セミナーで講師を務めたRBLパートナーズPLLCのボアズ麗奈弁護士は重要なポイントとして次のことを指摘している。

ビザ保有者入国可能か
Eビザ、学生も対象外

 適応日の6月24日の時点で、既にビザが発給されている外国人は該当しないようだ。つまり、現時点で米国外にいても、既にビザが発給されているH1B、H2B、L1、J1ビザ保持者は、引き続き、入国が出来る可能性がある。大統領令に含まれていない非移民ビザ保持者(E1、E2、E3、TN、F1=学生)は該当しない。また、米国永住者(グリーンカード保持者)も該当しない。米国の食料品供給にに関わるエッセンシャル・ワーカーや、米国政府の国益とみなされる外国人は例外とされます。

米国出国後の再入国できない可能性注意

 重要なのは、現在、米国滞在中の外国人には影響はないが、米国を出国することにより、再入国できなくなる可能性があるので、注意が必要。また、米国内での滞在の延長や切り替え申請にも影響はないので、引き続き、米国移民局への滞在延長申請は可能。

 なお現時点で上記に該当するビザの面接を予約されている者で、まだビザが発給されていない場合、近々、面接がキャンセルされてしまう可能性が考えられるので注意が必要だ。