全米で抗議集会

 発端となったミネアポリスの事件は25日午後8時頃に起きた。偽の20ドル札を使おうとしている男がいるとの通報を受けた警察が駆けつけ、デレック・チョービン警官(44、26日に解雇)がフロイドさんを地面にうつぶせにして膝で首を押さえつけた、フロイドさんが「息ができない」と訴えても、通行人から「殺す気か」と言われても、チョービン警官は押さえ続け、他の3人の警官も止めようとしなかった。フロイドさんの反応がなくなってからも2分以上押さえつけ、救急車が来てから膝を離した。押さえつけていた時間は8分46秒で、フロイドさんは病院で死亡が確認された。

 通行人らがこの様子を撮影しソーシャルメディアに投稿。ミネアポリス警察は当初、フロイド容疑者は抵抗していた、また死亡は医療事故と説明していたものの26日にチョービン警官と現場にいた3人の警官を解雇した。しかし夜には最初の抗議集会がミネアポリスはじめミネソタ各地で開かれた。27日に全米の主要都市に広がるとともに放火や略奪も発生した。ミネアポリスでは28日にチョービン元警官が勤務していた警察署が放火された。元警官は29日に第3級殺人罪と過失致死で起訴されたが騒ぎは収まらず、同日夜に州警察と州兵がミネアポリスに投入された。

 全米各地でデモが起きており、警察車両だけでなく商業施設も放火され、店舗から商品が盗み出される略奪行為も発生している。これに対し警察はデモ隊に催涙スプレーや胡椒弾、閃光弾などを使用。混乱のなか29日夜にはカリフォルニア州オークランドとミシガン州デトロイトで銃撃があり、それぞれ1人が死亡した。ミネアポリスでは30日夜、警察が暴徒化した市民に発砲し1人が死亡した。アイオワ州ダベンポートでも2人が銃撃され死亡した。AP通信によれば31日までに全米で4400人以上が逮捕された。1日は午後からニューヨーク市内全域で抗議集会や行進が行われた。

(写真)「黒人の命だって大切だ」を掲げる白人女性(1日午後5時、ユニオン広場で、写真・三浦良一)