沖縄の未来を考える研修

高校生と大学生が来米

NY大使公邸で意見交換会

 「アメリカで沖縄の未来を考える」(TOFU:Think of Okinawa’s Future in the United States)プログラムの一環でニューヨークを訪問した沖縄県の高校生及び大学生22人との意見交換会が3月25日午前、ニューヨーク総領事公邸で行われた。当日は佐藤貢司ニューヨーク日系人会会長、フレッド・カタヤマ米日カウンシル副会長の2人が個人的体験や日系社会の歴史、日米関係について講演した。同プログラムは 沖縄の将来を担う高校生・大学生を米国に派遣し、関係者との意見交換や各種視察等を通じ、語学としての英語力向上を図るとともに、英語を用いて様々な分野について学ぶ教育機会を提供することを目的に、平成30年以降、沖縄県の高校生・大学生等を米国(ワシントンDC及びニューヨーク)に派遣している。これまでの実施実績は平成30年3月に20人を、平成31年3月に24人を米国に派遣。滞在中、米政府・国連関係者との面会や現地学生との交流等を実施。令和2年度は東京で実施、令和3年度はオンラインで実施。令和4年度は令和5年3月に40人を米国に派遣した。

 佐藤氏は、ニューヨークで生まれて弁護士になった経歴、日系人の歴史、戦後のララ物資の日本支援やNY日系人会の現在の活動などを紹介した。日本人留学生が減っている中で、国際的な人材に育っていって欲しい、アメリカのことをもっと学んで欲しいと述べた。

 ジャーナリストとして長く活躍したカタヤマ氏は戦後カリフォルニア州ロサンゼルスで生まれ、父とその家族が太平洋戦争中に日系人強制収容所に抵抗もせずに移動したことに子供の頃は反感を持っていて自分が日系のルーツを持っていることを恥じていたが、ジャーナリストを目指してコロンビア大学に入学してドナルド・キーン教授との出会いによって日本文化に魅了され、日系人であることに誇りを持つようになったと話した。「世界に目を向け、リスクを取ることをいとわず、積極的に生きていって欲しい」と激励した。

 生徒を代表して高校2年生の仲田優月さんが「片面からだけでなく広い視点から、悲観的ではなくポジティブな観点から自分の考えを述べ、日米の架け橋になれるよう努力したい」とお礼の言葉を述べた。

 質疑応答では、学生から「安全保障、戦争と平和という点についてどう思うか」との質問に佐藤氏は「アメリカを選択するか日本を選択するかというのは父親を選ぶか母親を選ぶかと言われているのと同じくらい困る。夢を見ると、アメリカ人の友人が日本語で話していたり、日本の友人が英語で話していたり、混乱する。戦争で原爆を2回落とされた日本人としては戦争は反対だ」と述べた。

 カタヤマ氏は「 安全保障や米軍基地に関する沖縄県民の感性はよく理解しているし、共感している。私は、沖縄が日本の軍事基地の不釣り合いな大多数を抱えているという事実も、時折起こる軍属による犯罪やオスプレイの墜落事故も知っている。 しかし、もっと大局的に見なければならない。基地は日本だけでなく、インド太平洋地域の安全保障に不可欠である。中国がインド太平洋地域で軍事力を誇示し、北朝鮮がミサイルを撃ち続け、ロシアがプーチンの下で権威主義に回帰している今、抑止力として機能する戦略的立地という理由もある」と答えた。