フルブライト奨学金停止 日本人留学生らに深刻な影響

 米国の国務省は2月13日、教育文化局(ECA)傘下の全プログラムへの資金提供を15日間停止した。留学生向けのフルブライト奨学金やギルマン奨学金への助成は停止され、2月27日終了するはずだったが凍結は継続したままで、利用する日本人留学生にも影響が出てくると見られる。

 国際教育界の情報をまとめているICEFモニターによれば、フルブライト奨学金あるいはギルマン奨学金を利用して海外留学中の米国人3500人と米国留学中の外国人7400人が影響を受ける。今後6か月以内に交換留学を予定している学生への資金援助も一時停止されている。またフルブライト奨学金が運営する国際ビジターリーダーシップ・プログラム、IDEASなどの学術交流、若手リーダーイニシアチブなどの専門職交流、YES、FLEX、CBYXなどの青少年交流、スティーブンス・イニシアチブなどのバーチャル交流などへの補助金も停止されており、こうした国際教育・交流プログラムが事実上停止に追い込まれる可能性がある。

 国際教育と交流を専門とする非営利団体の国際教育者協会(NAFSA)はじめ、国際交流同盟、海外教育フォーラムは相次いで凍結解除を求める声明を出した。NAFSAは3日、連邦議会が承認し資金が割り当てたプログラムであるため議会が介入するよう求めるキャンペーンを開始すると発表した。ファンタ・アウ事務局長は「助成金凍結は留学や国際交流プログラムの存続を脅かす」と述べている。

 フルブライト奨学金は第二次世界大戦後、「世界各国の相互理解を高める目的」で設立された。利用した日本人は6700人を超えており、明石康(国際関係学)、上川陽子(法務大臣、外務大臣)、下村脩(ノーベル化学賞)、利根川進(ノーベル生理学・医学賞)、河合隼雄(元・文化庁長官・京都大学名誉教授)らがいる。卒業生にはノーベル賞受賞者が62人、国家元首含む政府首脳が44人いる。国際ビジターリーダーシップ・プログラム参加者には小説家の大江健三郎氏や村上春樹氏、総理大臣経験者では菅直人、鳩山由紀夫、海部俊樹、細川護熙の各氏、また東京都知事の小池百合子氏がいる。