カウンター飛び越え
逃走先フィラデルフィアで逮捕
西53丁目にあるニューヨーク近代美術館(MoMA)で12日午後4時15分ごろ、映画の受付カウンターで、来館した男が腹を立て、職員2人をナイフで刺す事件があった。
黒いウールの帽子とサージカルマスクをした男が飛び越えてカウンターの内側に入り、対応していた女性職員(24)の背中と首を刺した。別の職員がノートを投げるなどして応戦すると、そばにいた男性職員(24)の左鎖骨を刺したのち、男は逃走した。警備員が来館者を全員、館外に退避させ、世界中の観光客が訪れるニューヨーク屈指の美術館の周りは一時騒然となった。警察と救急車が駆けつけ、刺された2人はすぐにベルビュー病院に運ばれ手当を受けた。命に別状はない。(写真:立ち入り禁止のテープを解く警察官(午後6時すぎ、写真・三浦良一))
切りつけたのはゲイリー・ガバナー容疑者(60)で、15日にペンシルベニア州のフィラデルフィアで逮捕された。美術館は、秩序を乱す行為が複数回あったため会員資格を取り消していたという。容疑者の確認できる最後の住所は、精神障害者やエイズ患者のために非営利団体「プレーキング・グランド」が運営するミッドタウンにあるアパート。容疑者は13日、フェイスブックとツイッターに、自分は双極性障害であること、また「笑った時に自分を黙らせようとした女性によって引き起こされたものだ」といった内容の文章を投稿している。
警察は顔写真や犯行を捉えた監視カメラのビデオを後悔して広く情報の提供を求めていた。美術館側も大衝撃を受けており警備に万全を期すとしている。