ウクライナ系には寄付続々
ロシアン・ティールームは閑古鳥、ウクライナ料理店は大繁盛
ロシアのウクライナ侵攻で、2番街9丁目角にあるウクライナ・レストラン「べセルカ」に連日多くの客が集まる一方、57丁目にある「ロシアン・ティー・ルーム」には閑古鳥が鳴いている。
ウクライナ語で虹を意味するべセルカは、ウクライナ支援の人たちや非営利団体の拠点となっており、店自身もウクライナへの寄付活動を行っており、侵攻後最初の1週間で約1万ドルの寄付金が集まったという。また、店頭では電池や衣料品などの現物寄付も受け付けている。
一方、創業95年を誇り、フランク・シナトラなど数々の有名人が利用してきたロシアン・ティールームの客足は大幅に減り、SNSで脅迫さえあったという。2月24日にウクライナ侵攻が始まり、同レストランは28日にはウェブサイトやSNSに、ウクライナの国旗に「ウクライナに連帯」というスローガンを入れたロゴを全面に出した。声明文も掲載し、「ロシアン・ティー・ルームはロシアのいわれのない戦争行為をもっとも強い言葉で非難します。その歴史は、95年にわたり共産主義独裁に反対し、民主主義のために発言することに深く根ざしています。革命によって居場所を失った創業者たちがスターリンのソ連に立ち向かったように、わたしたちはプーチンに立ち向かい、ウクライナの人々に連帯します」としている。しかし客足は遠のいたままだ。
ロシアン・ティー・ルームは1927年にロシア帝国バレエ団のメンバーによって開業されたが、現在のロシアとは関係がない。数度にわたるオーナーの変遷を経て、現在は金融会社のRTRファンディング・グループ(ジェラスド・リープリッチCEO)が所有している。
ロシア製品などへのボイコットでは、全米各地でウォッカのレストランや酒店からの撤去や不買運動が起きている。このためウォッカブランドの「ストリチナヤ」は「ストリ」に名称変更したが、会社はルクセンブルクの複合企業で製造はラトビアで行われておりロシアとは関係がない。ロシア第2の石油大手ルクオイルが提携するLUKOILガソリンスタンドでの給油に反対する運動も起きている。株価が暴落したルクオイルは3日、「私たちは武力紛争の迅速な停止を求め、外交手段を通じた交渉による解決を全面的に支持する」との声明を出すなど対応に追われている。
(写真)(左) ロシアン・ティー・ルーム、(右)ウクライナ料理店「ベセルカ」