中止となった東日本大震災追悼式典
TOGETHER FOR 3.11
3月8日、日曜日午後4時15分。ニューヨークで開催される予定だった東日本大震災追悼式典「TOGETHER FOR 3.11」の会場となるセントラルパークウエスト68丁目の教会に、春の午後を感じさせる優しい風が静かに吹いていた。今年で9回目だった追悼式典。日本人だけでなくニューヨーク市民が足を運ぶ海外で最大規模の催しには、例年500人余りの日米市民が集い祈りを捧げてきた。
新型肺炎コロナウイルスの世界的感染の拡大を受け、多くのイベントが延期、中止となる中で、この追悼式典も1週間前に中止が決まった。中止のアナウンスはしたが、知らずに当日1人でも誤って会場の教会へ足を運ぶ人がいるかもしれない。そんな思いで教会の責任者の協力を得て、主催団体のフェローシップ・フォー・ジャパンのメンバーたちが集まっていた。13人のメンバーのうち2人は、ニューヨーク市の日本からの到着後2週間の自宅待機要請により参加できなかったが、追悼式の予定時刻に合わせて、午後5時に3・11の犠牲者へ祈りを込めて黙祷を捧げた。
主催者代表のシンガーソングライターAKこと柿原朱美さんは、「被災地は、まだまだ深刻な状態が続いています。残念ながら開催はできませんでしたが、東北の皆様、被災者の皆様への気持ちはまったく変わっていません。心を寄せて忘れないという思い、そして犠牲となられた2万人もの尊い命の方々のために祈り続け、被災地のために思いと支援を届け続けたい。11日には、ニューヨークから、同じ空の下、みなさんと一緒に心を寄せて祈っています」と話した。
(写真・本紙三浦良一)