大手通信社が表記に反対し対立
ホワイトハウスのテイラー・ブドウィッチ大統領次席補佐官は14日、AP通信がアメリカ湾への改称に従わないことは「誤情報」であり「無責任で不誠実な報道」だとX(旧ツイッター)で批判、「無責任で不誠実な報道をする彼らの権利は憲法で守られているが、大統領執務室やエアフォース・ワン(大統領専用機)のような限られた空間に自由に出入りできる特権は保証されない」と述べた。ホワイトハウスでの一般的な取材許可証は今後も付与されるという。
米国内務省(DOI)は1月24日、20日の大統領令に基づき米南部に面するメキシコ湾を「アメリカ湾」に改称したと発表した。これに伴い連邦地名委員会、米海洋大気局(NOAA)と傘下の国立ハリケーンセンター(NHC)や国立気象局(NWS)などは「アメリカ湾」に名称変更した。
AP通信(本部ニューヨーク)は英ロイター、仏AFPとならぶ世界3大通信社の一つ。100か国以上に263の拠点を持ち、世界中の約1万5千のメディアにニュースを提供。3千以上の米国サイトと900以上の海外サイトにもコンテンツを送信している。世界中に顧客がいるAP通信は、メキシコなどアメリカ湾の呼称を認めていない国もあることから、従来のメキシコ湾の表記を継続している。またAPスタイルブックはジャーナリズム業界の標準であり、多くのメディアが参照して使っている。グーグルマップ、アップルのマップやマイクロソフトの「Bing Maps」は米国内の利用の場合、アメリカ湾に表示されるように変更した。米国外ではその国が定めている名前ないし両方が併記される。メキシコのシェインバウム大統領は2月13日、グーグルマップ上でメキシコ湾の表記をアメリカ湾に変更したことに関し、民事提訴することもあり得ると警告した。
ブリタニカ百科事典は2月12日、アメリカ湾とは呼ばずメキシコ湾のままとすると発表した。一方、ネットメディアのアクシオスは14日、他のメディアに比べて自社の視聴者は主に米国在住者だと述べ、メキシコ湾をアメリカ湾に改名するというトランプ政権の決定に従うとXで発表した。