Fコレマツデー、フォートリーで認定記念行事 NJ州

カレン・コレマツさん

 第二次世界大戦中の米国における日系人の強制収容所送致を指示した大統領令9066を、違憲判決に導いた日系人人権活動家フレッド・コレマツ氏の偉業を讃え、彼の誕生日である1月30日を「フレッド・コレマツ・デー」とし、歴史を学び移民の自由と人権尊重を考える日にしようという動きが、2010年のカリフォルニア州をはじめに、日系人人権活動家の地道な議会への働きかけにより 全米に少しずつ広がっているが、東海岸では2017年のNY市に続き、2020年にニュージャージー州フォートリー区が同記念日を正式に認定した。

 3年目となる今年は、フォートリー図書館が主催し、1月27日夜、オンライン形式で記念行事を開催した。同行事は、フォートリー図書館ディレクターのクリス・ユージェロニスさんが進行を務めた。マーク・ソコリッチ区長のスピーチのあと、動画で佐藤貢司NY日系人会会長と、キャロル古本さん(写真上=古本夫妻)の代読で吉岡まこNJ日本人会会長もそれぞれスピーチをした。そして、フレッド氏の長女でフレッド・コレマツ財団の創設者であるカレン・コレマツ氏が、父との思い出話や、彼の遺志を継いで現在、全米各地の学校や自治体に行っている教育活動の報告を行った。

ソコリッチ区長

 そして、NY市とフォートリーでのフレッド・コレマツ・デー認定の功労者である古本武司氏が、第二次世界大戦時の強制収容所のスライドを見せながら当時の日系人の過酷な生活と、1980年代に起きた「ジャパンバッシング」、コロナ禍で始まった「アジアンヘイト」など、日系人が受けてきた迫害についてプレゼンテーションを行った。自身が強制収容所で生まれ、戦後は広島で幼少期を過ごし、アメリカに帰国後は米軍兵としてベトナム戦争に従軍と、常に「人権と平和」について考えさせられる環境に置かれてきた古本氏の体験談や、だからこそフレッド・コレマツ・デー認定に向け奔走する理由には説得力があった。ソコリッチ区長も、「タク(古本さん)から、日系人が受けてきた不当な扱いや、フレッド氏の偉業を何度も聞かされて、大勢の移民が暮らすフォートリーを預かっている自分が、この運動に賛同しないという選択肢はなかった」と語っていた。

 質疑応答コーナーでは、古本氏にとって第二の故郷である広島の学校で行われている「平和授業」を例に挙げ、「自分と違う容姿の人や考え方も受け入れ、相手を認めていけば、アメリカも変わっていくと思う」と話していた。イベントの最後には、古本氏とキャロル夫人の結婚記念日が奇しくもフレッド・コレマツ・デーと同じ1月30日で、今年が金婚式となることが明かされ、参加者から祝福を受けていた。

 イベント終了後、古本氏は本紙の取材に対し、「次のステップとしては、フォートリーだけでなくNJ州全体でのフレッド・コレマツ・デーの認定を目指しており、これはもうあと一歩のところまで来ている。また、いくつもの高校や大学で、次世代を担う若者たち相手に歴史の生き証人として講演も予定している」と語った。 (本紙・久松茂)