精神疾患ホームレスの男を逮捕
精神疾患の病歴のあるホームレスの男性がニューヨークの地下鉄で4人をナイフで殺傷したとして14日、逮捕された。男はリゴベルト・ロペス容疑者(21)で、12日から13日にかけての14時間の間に地下鉄A線の車両内と駅で利用客を襲撃した。クイーンズのファーロッカウェーにあるモット・アベニュー駅で乗っていた男性(57)が刺され死亡しているところが発見された。また、マンハッタンのインウッドにある207丁目駅でも電車内で刺され死亡している女性(44)が発見された。このほか181丁目駅では、43歳の男性がプラットフォームで、別の67歳の男性が駅の出口近くで襲われケガを負った。
ワシントンハイツをパトロール中の警察官がロペス容疑者を発見し逮捕した。防犯カメラに写っていた服と同じものを着用していた。警察によればロペス容疑者の殺害動機はもめごとなどではなく、ある犠牲者には「あなたを殺す」と言って犯行に及んでいたという。ロペス容疑者は殺人と殺人未遂などの罪で起訴された。麻薬所持、暴行などの逮捕歴とともに精神疾患があることが確認され、裁判所は保釈なしの勾留を命じたが弁護士から要請のあった医療処置は認めた。
地下鉄警備に当たっている警官は約2500人だが、殺傷事件をうけて13日、警官500人が増員された。しかし警察は精神疾患のある人への対応ができていないという批判的な声もある。地下鉄を運営するメトロポリタン交通局(MTA)は14日、さらに警官を1000人増やすよう求めるとともにホームレスや精神的危機にある人に対応するための訓練を警官に施すよう求める書面をデブラシオNY市長に提出した。
今年1月の地下鉄での暴行事件は18件で、昨年1月の10件から大幅に増えている。線路に突き落とされる事件が5件も起き、市議会では対策を検討する運輸委員会が10日に開かれたばかりだった。コロナ集団感染回避のため市が刑務所服役囚を保釈したことも治安悪化の原因とされている。