戦時日系強制収容
勝ち取った勇気
フレッド・コレマツ記念日NYとNJで式典開催
第二次世界大戦中の日系人強制収容の不当性を訴えた権利擁護活動家、フレッド・コレマツ氏(1919年〜2005年)の誕生日に当たる1月30日を2017年にニューヨーク市が記念日としたのを受け同日、民間人権団体、ニューヨーク・デー・オブ・リメンバランス主催の記念式典と昨年東海岸で二例目となる記念日が制定されたニュージャージー州フォート・リー区でオンラインの記念式典が開催された。
フォート・リーの式典は、同区在住日系人の人権活動家、古本武司さん(不動産会社社長)が呼びかけた。
1980年にジミー・カーター大統領は、戦時における民間人の転住・抑留に関する委員会を設置し、第二次世界大戦中の日系人の強制収容に関する調査を行うよう命じ、委員会は日系人への強制収容を、「人種差別や戦時下のヒステリー、及び政治指導者の失敗」により起こったものだと結論づけた。1988年には、合衆国議会において戦時中の強制収容に対する謝罪と補償が制定され、レーガン政権下に存命中の者に一人当たり2万ドルの賠償金を支払うことが決定した。1998年にコレマツ氏は、これに貢献したとして米国における文民向けの最高位の勲章である大統領自由勲章を受章した。
フォート・リーの式典で古本さんは1993年にビル・クリントン大統領が日系強制収容を正式に謝罪した時の文章を読み上げた。戦時中の41年にツールレークにあった日系人強制収容所で生まれた古本さんは71年にアメリカ兵として戦ったベトナム戦争から帰還、PTSDに悩まされながらも妻キャロラインさんの献身的な看病で立ち直った退役軍人の立場からも戦争と差別反対を訴えた。
また式典ではスーザン大沼NY日系人会会長がコレマツ氏の業績を讃えると共に「未来を担う若者たちに一人の勇気が世の中を変えることができることを伝えていかなくてはならない」と話した。
ニューヨーク総領事の山野内勘二大使はコレマツ氏を「日米が共有する価値観である自由、民主主義、社会正義、人権尊重という言葉を体現したパイオニアである」とし、「ニュージャージー州でも近く記念日が制定されると聞いて嬉しく思う」と述べた。
式典ではニュージャージー州政府関係者側からフォート・リー郡常任委員会議長のジョセフ・サービエリ氏(古本氏代読)、州上院議員ジョセフ・レガーナ氏、州下院議員のラジ・マケルジ氏、州下院議司法委員会議長アンソニー・ヴェレリ氏がそれぞれ祝辞を述べた。
(写真左)フレッド・コレマツ氏 (上段左から順に)NY総領事山野内大使、古本氏、大沼氏(下段左から順に)レガーナ氏、マケルジ氏、ヴェレリ氏