松井康成と現代作家
日本クラブで27日まで
日本クラブは人間国宝の松井康成と現代陶芸作家の大貫博之、戸田浩二、額賀章夫の作品展示会「自由な作風 – 笠間焼」(共催:茨城県、協賛:JCCファンド、関彰商事株式会社、セコム株式会社)を1月31日から今月27日(水)まで、日本ギャラリー(西57丁目145番地7階)で開催している。
初日には日本クラブで茨城県陶芸美術館の柳田高志学芸課長が、笠間焼の魅力や特徴、松井康成が生み出した独自の作風などについて解説する講演会を行った。オープニングには日本から大井川和彦茨城県知事、山口伸樹笠間市長もかけつけ、ニューヨーク総領事の山野内勘二大使が祝辞を述べて展覧会の開催とオープニング講演を祝った。会場は約150人もの来場者で埋まる大盛況となった。
講演では、東日本最大級の規模を誇る笠間の陶芸産地は約240年前、信楽から来た陶工の技術を取得して始まった。笠間の地で作陶することを条件に各々の世界観を自由に創作できることが特長で、全国から陶芸作家が移り住む日本でも有数な産地となっていることが紹介された。
陶芸作家で人間国宝の松井康成は、一つの技法「練上(ねりあげ)」に絞り表現の領域を格段に広げ、それまでの練上になかったフォルムと装飾(精神と物質、思想と感性、宗教と芸術)が一体化した「空即是色観」という独自の思想に基づいた作品を創作。
同展では笠間において大きな創造の原点であり、現代の陶芸作家に多大な影響を与えている松井康成の代表作6点と触れることが可能な陶片のほか、近年、国内外で活躍の場を拡げている現代陶芸作家、大貫、戸田、額賀の3人の作品約60点を展示している。額賀の作品は生活に根ざしたものを心がけて制作したという。大貫は絵付けの仕事から自然の植物を描いた作品を出品。戸田は大陸から伝わる仏教感が好きでそこにつながる静けさ、緊張感を描いた作品を展示した。