NYで盛大に新年会
ジャズの巨匠ロン・カーターさんも参加
ニューヨーク新潟県人会(大坪賢次会長)の2023年、第34回新年会が22日夕、マンハッタン・ミッドタウンイーストのエンパイアステーキハウスで盛大に行われ、パンデミックの3年間のブランクを経て65人が参加した。(写真上・野口正博)
当日はメインゲストに米ジャズ界の巨匠、ロン・カーターさんとクエンテルさん夫妻も出席し、大坪会長の開会の挨拶に続き、来賓のニューヨーク日本総領事館の遠藤彰首席領事と河本健一ジェトロニューヨーク事務所長が祝辞を述べた。同会副会長の高橋啓さんの司会で、同会役員の藤崎仁美さんのかけ声で全員で乾杯した。
エンターテインメントとして紐育男声合唱団(清水隆之団長)が、「希望の島」「佐渡おけさ」の日本の歌に続き、フランクシナトラの「The Way You Look Tonight」、ルイ・アームストロングの「What a Wonderful World」などのアメリカンクラシックをビッグバンドスタイルで披露した。音楽監督で指揮をした山内竜志さんは「今日は大御所が来ていたのでちょっと緊張しましたが、ハートに手を当てて喜んで最後まで聞いていただけたのでよかったです」と話していた。また新潟出身のミュージシャン又賀純一郎がリーダーを務めるジャズトリオがニューアルバムの新曲を披露した。ベースは山田吉輝、ドラムス永山洋輔に今回はサックス奏者のhideya sato が加わって会場を楽しませた。
食事の後のラッフルでは、新潟で個展をしてニューヨークに戻ってきたばかりの画家・遠藤信のオートバイの絵葉書ポスターが5人に、日本酒八海山が5人に、そしてロン・カーターさんが会場でサインをしたCDが3人に抽選で当たりカーター氏直々に手渡された。また、ブルックリンにこのほど開店した出汁の店「だしオクメ ブルックリン」の高橋利斉氏から参加者全員に出汁のお土産が贈られた。新潟県出身で当日参加した渡辺陽介共同通信ニューヨーク支局長は「こんなに盛大な県人会の新年会に出たのは初めて。びっくりしました」と盛況ぶりに驚いていた。最後は全員で横断幕を前に記念撮影し新年を祝った。
海外から故郷を応援したい
NY新潟県人会会長
大坪賢次さん
ニューヨークには多くの日本の県人会があるが、活動が盛んで県民の結束も固いと評判なのが新潟県だ。どうして人が集まるのか、その理由を同会県人会会長の大坪賢次さん(78)はこう語る。「今年で県人会を結成して34年目になりますが、常に心がけているのは、若い人たちが参加して楽しかったね、また来たいねと思えるような会にすることなんです。年配の人は前にしゃしゃり出ないように、私は黒子に徹しています。そして新潟県は、日本有数の日本酒の酒蔵が多いところです。毎回、日本の酒蔵さんからのお酒の提供も多く、新潟県は若い女性の酒豪も多くて宴が盛り上がるのも人気の一つですね」(笑)。
大坪会長は、本業は大坪不動産の社長としてニューヨークの商業不動産、富裕層の個人住宅などを古くから手広く手がけていて、トランプ元大統領がまだ「不動産王のプリンス」などと言われていた時代から一緒にゴルフをする間柄でもある。あまり一般には知られてはいないが、モンテネグロ名誉総領事などを兼任しながら日本の政財界の要人たちと直接的な個人的パイプを持って日本とニューヨークの友好の掛け橋として日米関係を搦手(からめて)から応援している人物だ。
帰国すれば、母校日本大学での卒業祝辞講演なども頼まれるが、今回は、ニューヨークの県人会の翌日から日本に一時帰国し、母校の新潟県立六日町高校が来年創立100周年を迎える記念事業の一環として同高校で講演を行う。「私はこれまで日本でもアメリカでも多くの人に出会い、その人達から教訓を学び、勇気付けられ、夢を与えられて来ました。私の今回の講演は、私のこれまで歩んで来た経験を話す事で、明日の日本の将来を担う高校生の皆さんに、夢と希望と勇気を与えられたら良いと思っています」。パンデミックで延期になっていた新潟の中学生をワシントンDCとニューヨークに招き、海外体験を積んでもらう海外短期研修留学制度を今年から実施し、まずは地元南魚沼市の生徒を15人ほど招いて、将来は新潟県全体に応募枠を広げて、一人でも国際感覚を持った若い人材が新潟のために将来貢献できるよう後押しするのが大坪さんの更なる夢の実現だ。海外で活躍する多くの日本人が高齢とともに帰国していく中で、アメリカに残り、海外の日本人と日本のために尽くすこと。昨年50年連れ添った理恵夫人を24時間介護を尽くして看取った。「まだまだやりたいことはいっぱいありますよ」。元気なNY新潟県人会を支えている。(三浦)