編集後記. 1月30日号
みなさん、こんにちは。新型コロナウイルスのワクチン接種は、65歳以上が対象となっていますが、居住地域の接種センターでの予約が取れない状況が続いています。昨年100人近い死者を出したマンハッタンの高齢者施設イザベラの、高齢者アパート棟イザベラハウスには日系人の高齢者が20人住んでいます。ナーシングホーム棟ではワクチン接種が予約なしのウォークインで始まりましたが、アパート棟の住民は、同じ敷地内に併設されているとはいえナーシングホームではないので接種できずにいます。高齢者アパート管理事務所では「ワクチンは、ナーシングホームとそのスタッフ限定で連邦政府から供給されているため」、「コミュニティーに属する高齢者アパートの住民は、主治医を通して施設以外で予約を取る必要がある」との説明を先週まで繰り返しナーシングホーム住民に伝え、接種を断り続けていました。ワクチン不足で主治医を通してもなかなか接種のアポイントが取れない現状の中、日系高齢者の住民に不安が広がりました。先週末、その窮状を訴える入居者家族から編集部に連絡がありました。週明けの25日月曜日朝、高齢者アパートの管理事務所に状況を聞くため取材の電話を入れると、担当責任者は前述の接種拒否の説明を一通りした後、同高齢者アパートでは、マンハッタンの同地区にある総合病院大手NYプレスビタリアン病院と「現在、接種を受けられるよう交渉しているので、もう少し待ってほしい」との説明をしました。1日おいた翌々日の27日水曜日午前11時50分(印刷所に紙面を送る10分前)、急転直下「イザベラ高齢者アパートの住民にNYプレスビタリアン病院で接種をしてもらえるようになった」とのアパート管理事務所から電話。事務所の電話口で予約第一号となった中野敬子さん(89)は「これで少し安心しました」としっかりした日本語で喜んでいました。イザベラハウスには本日、その記事が掲載された今週号が配達されているので、入居されている日系高齢者の愛読者の皆さんが新聞を手に取り、胸を撫で下ろしている姿が目に浮かびます。それでは、みなさんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)