マスクをして歩く人たち(1月28日午後1時フラシンングで、写真・三浦良一)
予防に戦々恐々
人目気にせずマスク
ニューヨーク市5区の中でもアジア系住民が多いクイーンズ区のフラシングは特に中国系移民が集中する町で大通りの交差点には漢字の看板が立ち並ぶ。地下鉄駅から地上に出ると日本のどこかの地方都市かと見間違うほどだ。マスク姿が多い。若者だけでなく中高年の男女もマスク顔が多い。「外出する時はマスクをしていたら安心か」と聞くと交差点で信号待ちの女子学生が目だけこちらに向けてうなずいた。米国ではマスクは工事現場の工員か「重病人」と宣言しているかのように怪訝な目で見られることが多く「予防」のためという意識がない。にもかかわらず、人目はばからずマスクをしている人が多い。ドラッグストアでは売り切れの店もあるという。
新型コロナウイルスによる肺炎は、昨年12月に武漢市で報告され、旅行者を通じて海外にも広がった。世界保健機関(WHO)は新型コロナウイルスについて、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)を宣言するのは時期尚早と発表した。中国ではヒトからヒトへの感染があると発表している。ベトナムでも人から人への感染が確認されたと発表されている。潜伏期間中の感染が報告されており、予防が難しくなっている。
WHOによれば致死率は推定3%程度。この数字は2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の致命率9・6%よりは低い。SARSでは香港を中心に8096人が感染し、37か国で774人が死亡したとされている。
新型コロナウイルスは中国に生息するアマガサヘビやタイワンコブラが感染源ではないかとの研究がある。特定の治療法はまだないが、対処療法と既存のウィルスワクチンは有効とされている。
武漢病毒研究所ウイルス流出説
米紙が示唆報道
1月26日付ワシントン・タイムス紙は、コロナウイルスによる新型肺炎の感染源として武漢市にある「中国科学院武漢病毒研究所」との関連性を示唆する記事を掲載した。同紙のインタビューに答えたのはイスラエルの生物学的戦争の専門家で中国の生物兵器を研究している元イスラエル軍情報官のダニー・ショーハム氏。「中国科学院武漢病毒研究所は中国で最も進んだウイルス研究所で唯一バイオセーフティーレベル4(致命的レベルの)ウイルスを扱うことができ、犠牲者が武漢市に集中しているエリアに同研究所がある」と語っている。また24日付メトロ紙は英国の総合学術雑誌『ネイチャー』を引用し、2003年に大流行したSARSは北京の研究所から漏れたものだったと報じた。
コロナウイルス1分で死滅効果
スプレーを発売
中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染拡大を阻止するため、世界のヘルスケア機関・企業が取り組んでいる。カナダの殺菌消毒製品を製造販売するMedicom社(本社モントリオール)は1月24日、新型コロナウイルスを1分で死滅させる殺菌スプレーとワイプ(拭き取り)タイプの「プロ・サーフェス」を発売した。また米国のInovio社は、ノルウェーの国際官民パートナーシップ機関CEPIから1000万ドルの助成金を受けて新型コロナウイルスワクチン「INO-4800」を開発、これから人への第1相試験が開始される。