鏡開きのあと乾杯する左から中島日本クラブ会長、大沼JAA会長、
NY総領事の山野内大使、吉森NY日商会頭(10日正午過ぎ、日本クラブで)
新年を祝う賀詞名刺交換会が10日、ニューヨーク日本総領事館主催、ニューヨーク日本商工会議所、日本クラブ、ニューヨーク日系人会の三団体共催により日本クラブで開催され、216人が参加した。君が代斉唱の後、各団体代表者が年頭の挨拶を述べ、鏡開きで乾杯して新年を祝った。会場ではお節料理やお雑煮がふるまわれ、参加者たちが和やかに歓談した。
激動の時代の日米関係
NY総領事 山野内勘二大使
令和2年、2020年は日本にとって特別な年でだ。東京五輪パラリンピックがあり、米国では大統領選挙がある。日本の政治経済諸々に大きな影響を与える。歴史を振り返ると今年は東京都とニューヨーク市の姉妹都市提携60周年、日米安保条約制定60年、戦争が終わって75年。日本クラブができて115年。マゼランがマゼラン海峡を発見して太平洋と大西洋が繋がってグローバリズムが始まって500年。
ニューヨークと日本が初めて出会ったのが1860年。万延元年遣米使節団で、日米修好通商条約の批准書を携えて横浜を出たのが2月13日、5月15日からワシントンに3週間滞在してニューヨークに着いたのが6月16日。そこから160年。これが日米交流の始まり。
国際ニュースは激動。北朝鮮問題や、台湾の選挙、中東問題もあるなかで、平和と繁栄を築く日米同盟は日米関係の基軸と言え、ビジネス、人との交流を通してここニューヨークにいるみなさんが、日米関係を築く重要な役割を果たすものと激動の時代であればこそ感じる。
一喜一憂せず社会盛り上げ
吉森桂男NY日商会頭
振り返って2019年は前年比で3%というリーマンショック以来の低い経済成長率、世界的な景気後退、貿易摩擦、投資活動にブレーキがかかり、開発途上国固有の脆弱性、アルゼンチンの緊縮財政がもたらした経済的ストレス、南米、中東、アフリカ、生活必需品の価格上昇や経済的不公平、汚職に対する一般市民の不満などが暴動や騒動となり、私もチリ出張を取りやめた。とはいっても一部には、世界的低迷の製造業に下げ止まりの兆し。中国のその後の不景気も減速、各国での良好な雇用の兆しがありさらなる減速のリスクは小さくなっていると見る専門家がいる。金融面では各国の中央銀行の金融政策で金融緩和が健在化、景気を下支えして財政面でも限定的ながら総じて拡大に向かうとの見方がある。これらが事実とすれば、世界景気は緩やかに持ち直していくかもしれない。米中覇権争いが続き、設備投資や企業のリスクテイクも回復しそうにない中で何か起きるか分からない不透明感が漂う。しかし2020年は東京五輪パラリンピックがあり、日本にとってはエキサイテイングな年になるのではないか。一喜一憂することなく、情報交換しながら当地における日本人社会を盛り上げていきたい。
次の新たな発展の年目指す
中島正樹 日本クラブ会長
年末年始から世界の大ニュースに接し、変化の激しい年になるのを実感する。昨年は令和という、人々が美しく、心を寄せ合って文化を育む年、秋にはラグビー世界杯があり、日本代表が躍進、平和で思いやりにあふれる日本のおもてなしが世界に感動を与えた。今年令和2年目。東京五輪パラリンピック開催でより一層「日本」の文字が世界中のメディアで取りあげられるだろう。
日本クラブは1905年の創設で今年で115年を迎える。会員同士の交流に加え、日米相互理解と友好を深めている。今年は世界から日本が注目される年でもあり、日本の伝統文化を紹介する日本クラブのカルチャー講座やギャラリーでの展覧会、スポーツ交流などに参加を呼びかけていきたい。館内にはクラブメンバーの施設、日本食レストランがあり、旬の料理も味わって欲しい。2020年、干支は『子(ねずみ)』、新たな芽吹きと繁栄の始りの年。次の新たな発展を目指して、会員のみなさんに喜んでもらえるクラブにしていきたい。
10年に一度の国民白書の年
スーザン大沼 NY日系人会会長
112年の歴史があるNY日系人会(JAA)はいま80%のメンバーが日本人で日系米人は2割。さまざまな活動を通して日系社会に奉仕、貢献してきている。今年は10年に1度のセンサス(国勢調査)の調査が行なわれる年。米国の市民権を取得することが少ない日本人は選挙の投票権がない人が多く、アメリカの政治家の目には「有権者」としての存在感が薄い。センサスは市民権がなくても「日系、日本人」であることを記載することができ人口の数としてカウントされる。ぜひ記載して欲しい。1月31日は、戦時日系強制収容を命じた「大統領令9066」に反対した日系人フレッド・コレマツさんを称える日で市役所で式典が開催される。今年は、日系米人の歴史に光を当てたい。補習校卒業生グループなどアメリカで生まれ育った日系の若者たちと連携してこれまで以上に若いメンバーを増やしていきたい。日本文化をルーツに持ち、日本に関心を持つ彼ら日系の若者たちは、対米進出日系企業にとっても国際化、現地化への大きな人的貢献のできる人材だ。交流の気機会を増やしたい。