閉業後も縞模様は凛として
1895年創業の老舗高級百貨店ヘンリベンデルの五番街本店が17日、123年の歴史に幕を下ろした。ティファニーやトランプタワーの向かいに位置し、シャネルを米国で最初に販売したり、まだ無名だったアンディ・ウォーホルを専属イラストレーターとして採用したりするなど、常に時代の最先端を行くデパートとして知られ、その茶色と白のストライプ柄の包装パッケージやオリジナル商品は世界中の女性たちの憧れの的だった。
その高級百貨店も、オンラインショッピングの世界的な潮流には逆らえず、店舗販売の売れ行きが落ち、五番街一等地の1平方フィート当たり3000ドルという地面価を支えることができず、19日までにこの旗艦店を含む全23店舗とオンラインショッピングサイトをクローズした。ニューヨークでは昨年末に200年の歴史を持つ米国最古の百貨店ロード・アンド・テイラーが閉店したばかり。
ヘンリベンデルの親会社Lブランドは、傘下の女性下着店ヴィクトリアズ・シークレットの販売不振からの立て直しのため、同老舗百貨店の閉店を昨年発表していた。営業最終日の17日には大勢の買い物客が世界中から殺到したが、全店閉店となった19日には、店内は綺麗に商品が片づけられ、茶と白の「人体」やパッケージだけが店内にひっそりと、しかし凛と美しく並んでいた。身なりの良い老夫婦が店内を覗いていた。「さよならヘンリベンデル。(この店は)五番街の可憐な花だった」とご主人が言った。(写真・三浦良一)