鐘寄贈の歴史きちんと伝えて
ツアーガイドのマニュアルに
鐘寄贈功労者の娘が要望
日本政府国連代表部動く
ニューヨークの国連本部のビル正面中庭にある日本庭園。そこにある平和の鐘は毎年9月の国連総会に合わせ歴代の国連事務総長と総会議長が鐘を突き、平和を祈念する恒例行事となっている。国連公式ガイドツアーで最初に案内される場所としても知られるが、その平和の鐘が日本から寄贈されたことの詳細な経緯などについては案内するガイド自身も良く知らないのが現状だ。この鐘の由来を国連に訪れる世界からの観光客、また案内するツアーガイド自身にも周知するための説明書がこのほど作られ、近く日本政府国連代表部を通じて国連本部に渡される。
この説明書は、鐘を国連本部に設置することに尽力した日本人、中川千代治(故人)の娘で、現在父親の遺志を継いで世界平和を訴える活動を続ける国連平和の鐘を守る会代表の高瀬聖子さん(70)が、これま何度か国連本部を訪れたなかで鐘の由来や寄贈当時の平和への思いなどがきちんと説明されていないのを知り、国連代表部に国連のガイドの方できちんと訪問者に説明をするようにして欲しいという申し入れをしてきもの。これを受け、昨年12月国連代表部川村泰久大使より国連広報局に対し、平和の鐘の案内についての改善策を申し入れた。その際、国連広報局が説明文書の勝活用を提案、日英両語による説明書が国連代表部の協力を受けて作成され、今後国連訪問者の説明に役立てられることとなった。記載文章(日本語)は次の通り。
◇(説明文/日本語)◇
国連平和の鐘とは
ニューヨーク国連本部にある「日本の平和の鐘」は、故・中川千代治氏が1954年6月に日本国際連合協会を通じて国連本部に贈呈したものです。「二度と戦争をしてはいけない」という確固たる思いを胸に、戦争の悲惨さ、核廃絶を訴えて世界を回り、ローマ法王から頂いた金貨をはじめ60余か国の大使から頂いたコインや、子供達を含む応援する多くの人々から頂いた硬貨や金属を入れて鋳造したものであり、日本から国連に贈呈された唯一の品です。国連では毎年国際平和デーに各国代表出席のもと、国連事務総長が世界平和を祈念して平和の鐘の鐘打式を行います。
世界絶対平和萬歳の祈り
「平和の鐘」に刻まれた「世界絶対平和萬歳」の文字と撞座のマークは、世界が絶対にいつまでも平和であって欲しいという千代治の強い願いです。撞木の当る処の月桂樹と日月は、夫婦の和、家庭の和、家族的世界の和を示しています。中の丸は太陽、三日月がそれを支え、その周りを平和の象徴である月桂樹が囲んでいます。太陽は男性を、月は女性を意味しています。