全面閉鎖回避か NY地下鉄Lライン工事

クオモ知事が代案

現行計画 配線全面刷新

 クオモ・ニューヨーク州知事は3日、トンネル修復工事のため4月より15か月間、運行を停止をするとしていた地下鉄L線について、全面閉鎖はしない方法で工事を行うと発表した。計画変更のためには地下鉄を運営するメトロポリタン交通局(MTA)の承認が必要で、近く緊急理事会が開かれるが、クオモ案が通るかは予断を許さない状況という。
 イースト川の地底を通りマンハッタンとブルックリンを結ぶカナーシー・トンネル(全長1・4マイル)は2012年のハリケーン・サンディで甚大な洪水被害を受けており、大幅な修復が必要となっている。このためMTAは昨年10月にLトレインのウイリアムズバーグのベッドフォード街駅からマンハッタン14丁目8番街駅の間を、修復工事中は運行を停止すると発表した。MTAはバスやフェリーの代替え利用を勧めているが、1日22万人以上が利用する路線なだけに、利用者からは不安の声があがっていた。

知事代替案 新ケーブル設置  現行計画ではコンクリート製のベンチを壊して配線を入れ替えるが、代替案は古いケーブルはそのまま残して新ケーブルをトンネル内に新設する

 トンネル内の電気および通信ケーブルは海水侵食により取り替えなくてはならない。当初の計画では数十万フィートの長さになるケーブルとそれを収納するコンクリートベンチをすべてを取り除き、入れ替えるという大掛かりなものだった。これに対し新しい計画ではケーブルをトンネルの側壁にまったく別に敷設する。トンネルは2つあり工事は片方ずつ行う。工期は15か月から20か月とやや延びるとみられるが本数を減らした夜間と週末に工事を行うことで、平日昼間は通常通り運行するというものだ。古い収納コンクリートベンチは補強措置をするとともに破損を検知するセンサーを取り付ける。
 クオモ州知事は昨年12月中旬に、コーネル大学とコロンビア大学のエンジニアチームとトンネルを視察、欧州からの「革新的技術」によって閉鎖せずに修理が可能となったと述べているが、米国内での実施例はないという。大混雑が予想されることからMTAが3年もかけて工事計画を練って発表したにも関わらず、土壇場で新しい計画案が出るという状態で、転居転職した者もおり、市の交通運輸関係者のみならず困惑気味の住民も多いと思われる。