価値ある設計とデザインにこだわる

インテリアデザイナー 坂岡 秋野さん

 米国では、下の名前を使って呼び合うので、日本人からもアメリカ人からも「秋野」と呼ばれている。ニューヨークでは、ホテル、レストラン、レジデンス、オフィスなどの広範囲のプロジェクトに関わってきた。内装建築に関しての知識では誰にも負けないという自負がある。ニューヨークのさまざまな人種が混在した複雑なビジネス社会で鍛えられてきたことも、不意に湧いた問題の解決にも役立っている。2015年から18年まで、タウンハウスリノベーション専門のハリス・リロイ建築デザインスタジオで、インテリアデザインのリーダーとして数百万ドル規模の高級住宅とコンドミニアムのデザインとプロジェクトマネジメントを担当した。また過去には、大手のロックウエル・グループでレストランデザインに携わっていた。
 1996年にニューヨーク州立ファッション工科大学(FIT)で内装建築学部で学士号取得後、ニューヨーク大学不動産学部でエグゼクティブ・マネジメントを専攻し、建設経営学修士号を取得。秋野さんには、ビジネス上の哲学がある。インテリアデザイン職人(インテリア・デザイン・クラフテッド=IDC)たれ、ということだ。米国で働いていても、日本の職人の器用さと繊細なものづくりの技術を大切にする文化の国から来たことを常に忘れないようにしている。
 この考え方が、コスト減少を図りながら同時に品質価値を高めていく。秋野さんはプロジェクトがスタートした時からこれを同時に行う画期的なプロセスを実践して実績を残してきている。住んでいる場所も、マンハッタン内でタイルやカーペット、建材店が密集するエリア。良質で価格のリーズナブルな内装材料を調達できる最良の方法だから。細部に目がまわり仕上がりは芸術的。先頃オープンした話題の高級日本食レストラン「海華月」の内装も秋野さんの手によるものだ。ニューヨークに進出する企業や飲食業にとって強い味方だ。  (三浦良一記者、写真も)