87歳現役美容研究家
小林 照子さん
30年以上、顔の印象に特化して研究をしている美・ファイン研究所(東京都渋谷区)が9月28日、「光と意識を集める美容」というテーマでオンラインセミナーを開催した。当日は87歳現役美容研究家の小林照子さんが「美容の力を意識する」と題して講演、皮膚が脳に働きかける関係性や感覚を形にすることで得られる効果を美容的側面から解説した。講演に続いてメイクアップアーティストの山口童子さんが実際にどう日本人の顔を美しくするかの技術論を解説、最後にトータル・ビューティープランナーの三島宏美さんが「表情筋のチューニングで立体美」の作り方をモデルを使って実演した。
同オンラインセミナーは、商品企画やマーケティングに携わる人や、接客する機会の多い人、またその教育を担う人などを対象にした企業セミナーで、海外で日本の技術や最新情報、美容に対する時代の流れなどを敏感にキャッチできる講座として注目されている。
小林さんは、かねてから「医・美・心研究会」という研究会を作り、医療と美容、心理的な相関関係について指導してきている。医療現場における美容の関わりは、病院で亡くなった人にする化粧を看護師に教えることから始まった。現在も日本全国500近い病院で何万人もの看護師たちがエンゼルメイクという名の元で最期の看取りの仕事として関わっているという。またこれまで解剖学の医師と美容との仕事に向かい合う上での共通点を見い出し、リンパを中心にしたマッサージから静脈に特化したマッサージなどが効果をあげているという。特に大切に思っていることは、美容は脳と密接に繋がっているということ。「人間は母体の中で外胚葉から脳と皮膚が形成されていく。分かりやすく言うと脳を薄く伸ばしたものが皮膚であると。脳が寒いと感じる前に鳥肌が立つように、暑いと感じる前に汗をかくように、肌は脳と直結している。皮膚に触れることで脳に刺激がいき、落ち込んだ気持ちが晴れたり、気持ちが前向きになったりする意識への作用が美容効果をもたらす。皮膚に触れることでホルモンの分泌を促し新陳代謝を促して若さを保つことに影響する感覚的な美容の力を医学の学会でも発表してもらいたい」と話し、「美容は医療を超える」という持論を紹介した。
「時代と共に美しさのリーダーは変わって行きます。ある時代は、映画女優だったりファッションモデルだったり、知性の光る女性だったり、生き方のかっこいい女性が時代のリーダーとしてもてはやされましたが、その時代背景がリーダーを作るのです。いまは、なんといっても、すっぴんの美人が時代のリーダーです」日本で最初に美容液を考案した小林さんの話から素肌の美しさが日本女性の美しさの要であることが伝わってくる。「パンデミックで長い間、マスクを着用していますが、外す時に自信を持ってすっぴん美人でいられるようにしましょう」とアドバイスした。(三浦良一記者、写真も)