アコースティックな心のふれあい

Yagull ピアニスト
ハグ・ミュージックスクール主宰

上坪 可奈さん

 ニューヨークを拠点に活動するYagullは、神戸出身のピアニスト、上坪可奈とセルビア出身のギタリスト、サシャ・マルコビック で編成されるアコースティックデュオユニット。既存のジャンルに当てはまらない、洗練されたシンプルで魅力的な心地よいメロディーを魂をこめて演奏する。   
 「自分たちの音楽を聴いた人がありのままの自分でいられる空間を作りたい」という願いを込めて演奏活動をしている。そのためには、彼ら自身が常に自分自身に向き合い、様々な感情を体験することをゆるし、その感情を温かく受け止める。Yagullの音楽を聴いた人にも同じように感じて欲しい、そんな気持ちを奏でる音の一つ一つに込める。 Yagullのこの音楽観は、違う形で彼らの経営する「HugMusic(ミュージックスクール)」でも体現されている。障害を持った子供達も含めた幼児から大人までを対象とするHug Musicでは、可奈とサシャのスキルと経験を活かした音楽レッスン、クラス、そしてミュージックセラピー(音楽療法)を提供し、先生たちは子どもに「教える」のではなく彼らのワクワク、ドキドキ感を大切にしながらインスピレーションやモチベーションを引き出せるように見守る。現在では週に200人以上の生徒が通い、音楽を通して様々な事を学んでいる。  
 Yagullは、最新作「YUNA」(2018) を含め、過去に「Films」(2012)、「KAI」(2014)の3作品リリースしている。前作品「KAI」は可奈とサシャの初共同アルバム。NYタイムアウト誌始め、全世界20か国以上から素晴らしい評価を受けた。Yagullの個人的な体験や経験を音で紡いだ作品「YUNA」(2018)は、発売後すぐに多数の評論を受け高い評価を得ている。
 これまでニューヨークを中心に活動を続けてきたが 日本を始めヨーロッパへも活動を広げ始めている。今年は4月にツアーを東京・神戸で行い両公演ともソールドアウト。6月には、ニューヨーク、8月にセルビア共和国の首都ベオグラードのナショナルミュージアム(国立博物館)でコンサートを行い、国営放送やセルビア新聞、また有名な雑誌に取り上げられた。
「たくさんの人と音楽を通して関わっていきたい。それが自分を受け入れ、心と心の触れ合いを可能にするから」と話す。音楽活動をプレーヤーとして、教育者としてライフワークとして関わっていくつもりだ。11月7日には、ニューヨーク倫理友の会の第19回年次総会で演奏を披露する。(三浦良一記者、写真も)