元プロ歌手のジャーナリスト

40年ぶりに歌う

シェリーめぐみさん

 シェリーめぐみさん、旧姓佐藤めぐみさん。ジャーナリストで、ミレニアル・Z世代評論家としてハーレムから激動のアメリカを日本へレポートしている。米国のダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌する米国政治を得意分野とする。

 だが、10代〜20代にかけて歌手を生業としていたその華々しい彼女の過去は、ニューヨークの友人たちも実は余りよくは知らない。

 まずはミュージシャン時代のことを本人に聞いた。

 高校のジャズ研でボーカルを始めると同時に近隣の高校に通っていた角松敏生のバンドでバックコーラスを務めた。

 早稲田大学政経学部に進学後は、タモリも所属した伝統あるジャズ研、ダンモに加入。ほぼ同時に日本のベーシスト第一人者、鳴瀬喜博のプロジェクトQuyzに加入、プロ歌手となった。西城秀樹のツアーなど、多くの歌手・アーティストのステージ、レコーディングのバックコーラスを務めた。また自身のバンド活動も行い、シンガーソングライターを目指してデモテープ製作に励んだ。いよいよソロデビューという時、めぐみさんはふと立ち止まった。プロの世界で自分よりもはるかに歌が上手い歌手たちが自分の周りに大勢いることを自分なりに感じていた。友人がなにげなく言った「自分をプロデースしてはどうなの?」。そうだ自分は曲が書ける。芸能界の裏舞台に目が向いた瞬間だった。転身は早かった。大学4年の時、友達のアーティストが番組出演するラジオ制作会社に出入りしていたところ、声をかけられ構成作家デビュー。卒業後フリーランスのディレクターとなる。FMラジオを中心に、佐野元春、ハイファイセットなど多くのアーティストの番組を手がけた。

 1991年ニューヨークに移住後は、FMラジオディレクターとしてニュース、エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。

 2019年、NYのミレニアル・Z世代が本音で語るラジオ座談会「NYYフューチャーラボ」を立ち上げ、今も最先端を走り続ける。

 そのめぐみさんがNY生活32年目にして今回、初ライブをするという。「自分の中で封印してきた歌手としての自分にもう一度逢って、自分の魂がどう叫ぶのか知りたくって」と目を細める。当日は、シンガーソングライターのAKAkemi Kakihara、作曲家でビッグバンド指揮者の宮嶋みぎわ、ライターの黒部エリの豪華ゲストを迎え、シティポップや昭和の懐かしい歌を披露しつつ、その七転び八起きの激動人生を初公開する。 (三浦良一記者、写真も)

https://megumi40.eventbrite.com