日本素材のファッションを世界に発信

一般社団法人サクラコレクション 代表理事

田畑 則子さん

 フィラデルフィアで今月6日、次世代の若者を育成するための「日本の素材」をテーマにしたファッションショーをペンシルベニア大学内アイロンゲート劇場でフィラデルフィア近郊のファッション学部専攻の学生デザイナーとともに開催した(3面に記事)。田畑さんが10年間海外で実施してきたショーで、北米では初開催となる。今年のテーマは、江戸時代から続く静岡の伝統織物「遠州綿紬」。伝統を重んじ、日本の四季をイメージした色で糸を染め、昔ながらの織機で1日25メートル以上、丁寧に織られた生地は、驚くほど柔らかな手触り。同イベントでは、在NY総領事館の森美樹夫大使やフィラデルフィア市長ジム・ケニー氏が挨拶、尺八生演奏と殺陣ライブショー のパフォーマンス、デザイナー表彰式、懇親会も行われ華やかな日本紹介イベントとなった。

 田畑さんは、1971年埼玉県生まれ。短大児童教育学科を卒業後、クレジットカード会社に就職、ワーキングホリデイでオーストラリアに約1年間滞在。現地ツアーデスク、日本語教師などを経験した。帰国後、旅行系派遣会社や出版社勤務を経て、95年フリーライターとして独立した。

 97年、女友達と二人で、ポンコツ車に乗って45日間でオーストラリア大陸(約2万2000キロ)一周ドライブの旅に出るなど冒険家だ。

 2008年に多言語で日本の文化や地域を紹介するフリーペーパー『AJ Adventure JAPAN』編集長、発行人として起業。翌09年1月株式会社アドベンチャー・ジャパンを設立した。創刊4号で文楽特集をしたことがきっかけで、13年文楽マレーシア公演をコーディネイト。14年より吉田簑紫郎氏とともに通称「バックパッカー文楽」、アジアワークショプ公演を企画。タイ、ベトナム、マレーシア、フィリピン、インド、ミャンマー、シンガポール、台湾など14都市を巡回、海外イベントに乗り出すきっかけとなった。

 そんな田畑さんが継続して力を入れてきているのがサクラコレクションだ。「伝統文化と世界の人々を繋ぐプラットホームになればと願います。この先は、文化、経済、観光、教育の循環がうまくいくように、生み出されたデザインが、市場に周り、その売上でまた、新しい若いクリエイターを支援できるような仕組みになればと思います」と語る。著者に『起業本能~夢を生み出す女性たち』(サンマーク出版) ほか共著多数。(三浦良一記者、写真も)