ニューヨーク名物のアトラクション型観光バス「ザ・ライド」。乗客は片側全面ガラスになった座席から市内観光中に、街中のエンターテイナーのサプライズ芸を楽しむ。ビルから出てきたUPSの配達職員が急に踊り出して乗客は大喜び。踊っているのはNYを拠点とする日本人ダンサーの小野由利加さん。7月にはダンスレビューショーに出演する。
ダンスの実力、ただ今NYで発揮中
ダンサー、振付師
小野 由利加さん
マジソン・アベニューの42丁目と43丁目の間、午後7時45分。小野さんの携帯がポーンと鳴った。「まもなくバスが来ます」。この日は午後3回、ニューヨークの観光バス「ザ・ライド」の街頭パフォーマーとして出演する日。観光バスの乗客たちは、片側全面ガラス貼りの窓から市内見物の合間に街頭各所で繰り広げられるエンターテインメントを楽しむ。小野さんは即興のヒップホップダンスを2分間、道路に一時停止したバスに向かって歩道で踊った。バスの中の観光客の笑顔が見える。多い時で週に3日仕事が入る(1面に写真)。
小野さんは、ニューヨークを拠点とするダンサーで振付師。リンカーンセンター、シカゴ25周年、メイシーズ・サンクスギビング・デー・パレードのオープニングナンバーにダンサーとして出演。2019年に日本女子大を卒業後、同年ワールド・オブ・ダンス世界大会にチームで出場し、Crowd Favorite賞(日本で言うオーディエンス賞)を受賞した。翌20年1月に来米したが、直後にコロナ禍のパンデミックになり、帰国も考えたが、こちらに滞在する道を選択した。
その後ブロードウエー・ダンス・センター、ステップスで学び、AMDA(The American Musical&Dramatic Academy)を卒業。現在、留学生として働けるビザ(OPT)を取得して精力的に活動中だ。取材の前日にも昨年に続いてラジオ・シティー・ミュージックホール定番のロケッツのインテンシブ講習を終えたばかり。3日間コースの初日には約1000人がテストを受けて2日目に残れるのは200人という難関。まだ遠い道のりだが、将来はロケッツダンサーとして舞台に立つのが夢だという。
現在は、クラスに行き、トレーニングをしながら、オーディションに行く毎日だ。
「母親が小さい頃から映画を見せてくれていたので、アメリカへの関心はありました。学生時代にダンスをやりきって、就職しようと思ったんです」。休学を両親に提案したところ、父親から『どうせだったら、ダンスの本場でやってきたらどうだ』と言われ、大学2年生の時にニューヨークのプログラムに参加したのがきっかけだった。7月7日には、マンハッタンで自主公演の舞台が控えている。(三浦良一記者、写真も)
(公演内容16面と18面に)