舞台演出家・マルチメディア・アーティスト
河村 早規さん
ニューヨークで舞台演出家・マルチメディアアーティストとして活動する河村早規が演出したシアター作品「ザ・ギビング・ツリー(The Giving Tree)」が、今月12日から27日(日)までUNFIXフェスティバル(https://unfixfestival.com/)でオンデマンド配信されている。
「ザ・ギビング・ツリー」はシェル・シルヴァスタインの本にインスピレーションを受け、ディバイジング、視覚芸術、身体表現の要素を含んだシアター作品。自身が子供の頃から親しんできた絵本を題材に、パフォーマーたちと3か月をかけて作り上げた。絵本ではなくシアター作品として物語を立ち上げることによって、さまざまな人や物との関係性を見つめ直す作品となっている。
河村は奈良県出身。日本で国際基督教大学に通う傍ら、ダンス公演の舞台演出や、パフォーマーとして活動。演技の名門校アクターズスタジオドラマスクール修士課程演出専攻に日本人で2人目として合格し、2019年にニューヨークに活動の拠点を移した。同スクールの奨学生として在学しながら学外でも積極的にアーティスト活動を行っている。舞踏シアターカンパニー、連翹奏(Ren Gyo Soh)に所属。舞台演出家として活動する傍ら、パンデミックをきっかけに映像の世界にも興味を持ち、2020年のオーストラリア・クアランティン映画祭に作品を出し、優秀賞を受賞。以来、出演者・撮影者・監督としてさまざまな映像作品を制作している。今回のフェスティバルでは、NYの芸術監督補佐も兼任している。
今回の作品で最も観客に伝えたいテーマは「無償の愛とはなにか」。
将来の夢は、アジア系、日系を代表できる演出家になり、人々に新しい価値観への扉、気づき、きっかけを与えられるような作品を生み出していくことだ。
河村は「村上春樹さんが翻訳されたことで有名になった「おおきな木」をベースとし、戯曲を使わずに自分たちの身体を使いながらディバイジングというスタイルで、パフォーマーたちと一瞬一瞬を3か月かけて作り上げた。私自身も制作期間でパフォーマーたちと対話を繰り返すうちに、西洋と東洋の自然に対する考え方、感覚の違いを感じた。そしてこのストーリーの受け取り方の多様さや普遍性に触れ、この作品がどうして世界中で長い間愛され続けているのかを理解することができた。視覚芸術・身体表現の要素も取り入れ、さまざまな世代の人に楽しめる作品になっていると思う」と語った。(写真は本人提供)