空き店舗を利用したアート展示

アーティスト

小林園実さん

 NY在住アーティストたちの作品を展示するパブリックアート「アート・オン・アベニュー」が、7月8日(木)までウエストビレッジで開催されている。公募で選ばれた地元のアーティスト31人の作品を、コロナ禍により閉店した空き店舗やパンデミック後も頑張って営業を続けている店のウインドーに飾り、ローカルビジネスとアーティストをサポートする企画。日本人では、小林園実さん、遠藤良子さんが公募に入選し参加している。同企画の公式サイト(https://www.artontheavenyc.com/)上の地図を見ながら作品を巡るギャラリーウォークでは、各作品が展示されているウィンドーにアーティスト名や作品名のほか、QRコードをスキャンするとアーティストの声で作品の説明を聞くことができる。

 今回の企画に応募して採用された作品は、Infinity Bubbles「永遠の泡沫(うたかた)」と言うタイトルで、去年のロックダウン中に描き始めたシリーズ。小林さんは、「ロックダウン中は誰にも会うことなく、朝起きて、ヨガをして、ご飯を食べ、絵を描くという生活を繰り返していましたが、毎日違う生活であり、しかし世の中は、大きな変化を強いられていると感じた。その時の気持ちを、抽象的な泡を描くことで、時々刻々と形を変え、同じ様に見えるが全く新しい泡が現れては消え現れては消えるという、私の毎日の生活を表現した」と話す。

 小林さんは埼玉県出身。現在はニューヨークでアーティストとして活動する傍ら、美術講師としてニューヨーク市公園局の施設や公園などでアートのクラスやワークショップを行っている。2019年には小林さんの社会貢献が認められ、市長より感謝状( Mayoral Certificate of Recognition)が授与された。日米やヨーロッパでの展覧会のほか、現在活動の拠点としているニューヨークでは、クイーンズにあるモマPS1や紀伊國屋書店のアートブックフェアに参加。今年秋には、三重県の亀山トリエンナーレへの参加や京都での展覧会も予定している。また、5月末までは毎週火曜日にNY市公園局のプログラムで、マンハッタンの公園にて無料の水彩画ワークショップ(https://www.nycgovparks.org/events/arts-and-crafts)の講師も務めるなど、経済が動き始めつつあるニューヨークでアーティストとしての活動も順調な再スタートを切っている。

(高田由起子、写真は本人提供)