NYの名店を塩で支える

グラムソルト創業者
原田 真樹子さん

 原田真樹子さん。1974年東京都杉並区出身。在米歴30年。コロンビア大学大学院で教育学部健康教育修士号を取得し、プラットインステチュート大学院ではアートセラピーの修士号を取得。NY州&全米アートセラピー協会認定のアートセラピスト。娘とニューヨークで二人暮らし。現在は「グラムソルト(glamsalt)」という名前の塩卸し販売会社を経営する。
 ニューヨークで「旨い」、「高いけど美味しい」と言われる寿司屋をはじめ、イタリアン、シーフードの名店御用達の塩屋として職人の間では知られた存在だ。
 店の了解を得た上で、グラムソルトの塩を使っている店名を挙げてくれた。ニューヨークで今一番のっている寿司屋「Sushi by Bou」は全店に卸し、白人の女性板前が握る人気店「Sushi by Bae」、老舗「初花」、「寿司安田」、「寿司中澤」、「Uchu」、サッカー選手のベッカムがふらりと訪れる屋台の寿司店「Sushi on Jones」、安田時代からのお得意さん「Omakase by Tatsu」、チャイナタウンにあるヒップな寿司屋「Juku」、精進料理の「嘉日」、高級肉店「ジャパン・プレミアム・ビーフ」(店頭売り)を初め、米国でもっとも古い自然食品のコープの一つ「High Falls Co-Op」、ノリータにあるミシュランのモダン・ニュージーランドの店「The Muskett Room」、料理界の天才児の店で若干20歳がきりもりする「Gem」、ノリータの美味しいロブスターの店「Ed’s lobster」、イタリアンの王道の店「Del Posto 」などなどそのほか多数。「ニューヨークの美味しいと言われている寿司屋さんの8割のお店に卸しています」とあっけらかんと言う。
 原田さんが塩と出会ったのは、人生の暗闇の真っ只で「キプロス島のレモン塩」にたまたま出会ったことだった。「これだ!」と直感し、塩の女神に導かれるように2012年、ニューヨークでグラムソルトをスタートした。
 母親の実家が以前、ニジマスの養殖場を営んでおり、宮内庁御用達だったこともあり、東京の一流の料理人との交流もあったということから塩の商売にはご先祖との繋がりも感じているそうだ。
 好きな言葉は「敵塩」。戦のライバルでもあったにもかからず上杉謙信が、武田信玄が塩がなく困っていたため、塩を送った話。「たとえ、宿敵であっても、リスペクトを忘れてはいけないという男前のコンセプトです。この教えを忘れずにこれからもお客様に笑顔で塩の精進をしてゆきたいです」とキッパリ。(三浦良一記者、写真も)