ミュージカルCATSで全米を公演中

ピアニスト

松浦 麻未さん

 アンドリュー・ロイド=ウェバーのミュージカル「キャッツ」の2021年度全米ツアーに現在日本人ただ一人のメンバーとしてキーボーディストを務めている。ニューヨーク州はもとより、ラスベガス、サンフランシスコ、オーランド、ニューオリンズ、カナダのモントリオールを始めとした56都市で巡業公演中で、9月からの来季も続投予定。

 松浦さんの日常のスケジュールは、ショーでの演奏がメインで、月一回行われるキャストのボーカル・ダンスリハーサルでの伴奏もする。基本的に月曜日が飛行機やバスを使った移動日で、平日の火曜から金曜は公演があり、土日は2公演をこなす。バスで1週間に2、3都市を回る週もあるという。基本的に月曜日の移動日以外にオフの日はなく、体力勝負なのでジムに通ったり、食事に気を付けたり体調には気を遣っているという。「アメリカのさまざまな都市の劇場を回ることができるのはとても良い経験」と公演生活を楽しんでいるようだ。

 米国に来ることになったのは、桐朋学園大学でクラシックピアノを学んでいたが、自分の好きなジャズやミュージカルの音楽をしっかりと学びたい、という思いが次第に強くなり、大学の教授に将来の進路について相談したところ、バークリーの奨学金オーディションが日本であることを知り、受験したことがきっかけ。2017年から同音楽大学へ留学した。バークリーでは、ピアノ演奏だけでなく、ミュージカルシアターにおけるミュージックディレクション、指揮法、歌唱指導法や伴奏法を学んだ。在学中、ジャズ・パフォーマンス・アワードを受賞している。2019年に同大学を卒業後、ニューヨークを拠点に活動し昨年9月からツアーに同行している。演奏中、客席が盛り上がっているのが聞こえる時にやりがいを感じるという。「自分が客席でミュージカルを観るときのワクワク感を思い出します」。

 「ミュージカル好きな私にとって、アメリカのミュージカルの現場で働くことができるのは、かけがえのない経験。現場で働く人達と会話をするだけでも沢山の刺激を受けます。いつかブロードウェイで仕事がしたい。その経験を活かして、日本でミュージカルシアターの仕事をするのも夢。そのためには、ビジョンを持って続けていくということがいま何よりも大切だと思います」と将来を見つめる。横浜市出身。1993年生まれ。(三浦良一記者、写真は本人提供)