ポール・スポーツ・アスリート・ パフォーマー
チェルシー真野さん
イーストビレッジのアベニューAにある劇場型クラブ「ドロム」で毎月第4金曜、土曜に開催される「シュティック・ア・ポール・イン・イット」は、ニューヨークタイムズやAMニューヨークからも取材が入るニューヨーク唯一のポール・アクロバットとスタンダップコメディを同時に楽しめるイベントで今年6周年を迎えた。
オーガナイザーであるジョアンナ・ロスとダン・グッドマンが厳選したポールダンサーとコメディアンしか出られない仕組みになっている。ここで唯一の日本人ポール・スポーツ・アスリート・パフォーマーとして出演しているのがチェルシー真野さんだ。過去6年で、オーガナイザーが採用した初の日本人ポールダンサーだ。愛知県一宮市出身。2018年に2つの全米主要コンペティションで入賞している。4年制大学を卒業後、広告会社の制作部門で働いていたが3年で退職。12年末までニューヨークに滞在、学生時代にジャズダンス部で鍛えた身体でプロベリーダンサー・インストラクターとしても活動する。拠点を4年間日本に移したあと17年に再びNYに。現在はプロのポール・スポーツ・アスリート・パフォーマーとして活躍している。
白人女性のコメディアンがステージを終えてカーテンの奥に消えると、3人目のポール・パフォーマーとして真野さんが登場した。 銀色のステンレス棒に柔らかい身体が巻き付くように吸い付いたかと思うと、4メートル近い天井までスルリスルリと上っていき、足だけで身体のバランスを取ったり、小脇に鉄棒を挟んだだけで全体重を支えたり、宙を蹴ったり、その演技はまるで空中のシンクロナイズドスイミングのようだ。身体の曲線美のシルエットはフィギュアスケートのようでもある。見ているだけでは分からないだろうが、相当の筋力と技術を必要とする舞台だ。3分間の持ち時間一杯に空中演技を繰り広げる。ステージに足が着いたのはほんの数秒だ。身長5フィート2インチの小柄な身体が空中では大きくダイナミックに見える。規定をこなす空中演技は2024年開催の五輪競技種目入りを目指す。
真野さんは言う。「日系企業のパーティなど、ポールダンスをエンターテインメントとしてもっと気軽に呼んでほしい。ベリーダンスはやっとその域まできたが、ポールダンスは、ストリップと同じだと誤解されているケースがまだ多い。
そういった状況を変えるためにも、日本人で、ポール・スポーツ&ダンスを楽しんでくれる同世代の仲間を男女を問わずもっとニューヨークで増やしたい」と。 (三浦良一記者、写真も)